パシフィック・リム(2013)/★★★★☆

デル・トロからの贈り物。これは劇場に駆けつけずにはなりますまい。

最初に言っておきます。
私は菊地凛子さんの事嫌いじゃないです。
『バベル』で初めて見たときその女優魂に驚いたし、『ノルウェイの森』の直子も最初は違和感があったけど凄く良かった。なにより、先日放送された『ボクらの時代』で桃井かおりと対談している姿を見て、海外で活躍する女優として十分尊敬に値するなと感心して見ていました。
でも、本作のマコは頂けない。デル・トロの演出のせいもあるのでしょうが、"DAIKON"と言われてもしょうがないんじゃないか。
特に序盤のパートナーになるまでのシークエンス(剣術が燃える!)はもっと繊細な演技が出来ると思うのだが。
(ゆえに芦田愛菜の方が相対的に上手に見えるというオマケつき)
ラストの脱出ボートの上でも輝けると思うのだが。
自分の記憶に囚われて現実に戻ってこれないなんて見せ場もあるのに。
決めのポーズ(ミエを切る)ことだってできるのに。
もっともっとがんばって欲しいだけに不満が残ります。
凛子。もっとチャンスを生かせ!。主役を食ってみろ!こんな大作にキャスティングされた"だけで"満足してんじゃねーよ!


さて本編ですが、注文を付けるとすれば

  • 白昼の戦いを見せて欲しい
  • 退治方法が"敵側の通路をふさぐって"。ついこの間も見たばかりの気がします(例えば『アベンジャーズ』とか)
  • コメディ場面が長すぎ

以外は完璧です。
序盤の無駄を排した展開。「モンスターは宇宙からやってくると思ってたが・・・」で始まり一分後には怪獣の襲撃(しかもゴールゲンゲートブリッジが破壊)が始まっています。出し惜しみなんて一切なし。見たいものを見せる。徹底しています。
しかも展開が速いので脳内に放出された大量のドーパミンが引くタイミングがありません。
あまりに気持ち良すぎて死ぬかと思いましたよ。
さらに、ペアで戦うというアイデアやロボットの発進シークエンス。ヘリにつられたロボットのビジュアルと海に落ちた時の重量感。さらに"歩く"姿(コックピット内の操縦?する姿も)そこに流れる燃えスコア。
頭部が"パイルダーオン"するとは思いませんでした。
もうデル・トロには感謝しかないです。
こんな素敵なものが劇場のでっかい画面で見られるなんて。


マコがパートナーになる場面も(一部不満はありますが)燃えるポイント。
「じゃあ戦ってみろよ」と挑発されて「やりなさい」と言われるセリフから涙
が止まりませんでした。(比喩ではなく、本当に目から汗が出ましたヨ)。
お互いにポイント取りながら実は最高のパートナーであることに気づく場面。わかってらっしゃる。
できればもう少し丁寧に描写してもいいんじゃないかなとは思いますが。


怪獣の口がブルーに光るのは今風ですね。
夜間しか登場しないので、造形が分かりずらいのが玉にキズですが。香港の街中で暴れるシーンは最高でした。
タンカー硬すぎ。
怪獣の両手から"あれ"が生えたのはビックリ。アイデアが秀逸なら見せ方も心得ています。
終盤の展開には不満がありますが、十分楽しめました。


なお3D吹替え版で観賞しましたが、スクリーンが小さめだったことと、イマイチ3D感が感じられなった点。さらに有名声優が吹き替えているので、ガンダム見ているようで映画を見ている感が薄れたのが残念。
本作は、なるべく大きなスクリーンで2D字幕版を見る事をお勧めします。(チャンスがあればもう1回観たい)


もちろんBDが出たら買います。
amazon.ukなら£15.50(約3,200円)で予約可能。


なお、ぜひ続編ではロボット(アメリカのイェーガー、ジプシー・デンジャー)と共に失踪した菊地凛子を追ってローリーが旅する話でお願いします。
菊地凛子の復讐譚がメインとなる話で、海底の入口を塞いだのになぜかエイリアンたちが現れる。そのことを誰も信じようしない事に業を煮やした菊地凛子が暴走する話です。
そう、今度の怪獣は火山の火口から出てきます。
決戦はハワイのキラウエア火山のすそ野で、時は白昼。満身相違のジプシーを日本の第1世代が助けに来ます。
そんな映画をお願いします。


燃えスコアのテーマ(歩くシーンと合います)