宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟(2014)/★★★☆

外伝として楽しめました

見終わってまず思ったのは「贅沢だなぁ」。


波動砲も撃たない、デスラーも出ない。森雪も数カットだし、レギュラーで活躍するのは古代ぐらい。
あとはサブキャラ中心の展開で中盤以降はほとんどホテルの中。
いわば外伝に位置づけられるぐらいの話が2時間かけて語られます。


劇場まで足を運んだ客が「これが映画館で見るヤマト?!」と激怒しかねないこの脚本に対して、
制作者サイドがGO出したのは、一にも二にも製作者サイドの出渕総監督への『おもねり』だと感じました。
(つまり出渕さんがやると言わないとヤマトが作れない。そこまで依存しているという意味です)


それが一番最初に感じたことでした。


過去のヤマト作品に対する出渕監督の思いもわからないではありません。
毎回「誰がが死んで、敵を倒す」を繰り返してきたインフレに対する批判はわかりますが、それを楽しみに見に来ている観客だっているのです。
また、2199の世界観から外れたくないばかりに、波動砲を封印するのは結構ですが、それでも撃たざるを得ない何かが見たかった。
そこが残念です。



ただし作品としては決して嫌いではありません。
・オープニングで見せる一連のシークエンスとと音楽
・大和ホテルでのカットごとに見方が変わる見せ方。
・伝説の魔女の挿話
・最後の古代の指令と協調する戦線
・戦艦同士の超接近戦(肉弾戦に近いものがありました)
たしかに劇場でみる価値は十分ありましたし、満足度は高いです。


ヤマトといえば音楽ですが、今回はあの帝国のテーマが聞けたのが一番うれしかったかもしれない。


今回は「さらば」へつなげるためのエピソードとして、今後何年かかってもいいから絶対に次回作を作って欲しい。
それが本作を世に出した(作った)出渕監督の責任でもあり約束でもあると思うのです。


■オープニングシーンは鳥肌が立ちます


■出渕さんのコメントは11分5秒あたりから