ピンク・パンサーX(1982)/★

ファンだけが楽しめるDVD特典映画
ピンク・パンサーX [DVD]
若くして亡くなったP.セラーズの死後2年後に公開された作品。

失踪したクローゾー警部を追ってレポーターが関係者達にインタビューを行っていくというストーリーは一応あるのだが実際に使われているのは、1.旧作のNGシーン 2.旧作の出演者のインタビュー 3.かつてのハイライトシーンとくれば、これは(今でいう)「DVD特典」に他ならない。
まだ、ビデオもなかった時代であれば、これはこれで十分商品価値があったのだ。


当然のように映画として成り立つはずもなく、脇役たちの名演技だけで楽しめるはずもない。
じゃあつまらなったというと、これが意外と面白かったんです。

何が面白いかというと「これがあのシーンにつながるのかぁ」とか「デビッド・ニーブンは老けたなぁ」とか前作でカットされてピーター・セラーズのギャグを見ることができたりとか。
つまり、ピンクパンサーのファン(旧作を知っている)だけが楽しめるようになっているのですな。
(DVD特典だし)
その意味で一番おもしろいのはエンドロールのハイライトシーン集だと思います。


もしこの作品を見ることがあれば、2つのクレジットに注意してください。
1つはオープニングクレジットの「唯一の”クルーゾー警部” ピーターに捧げる」という字幕。
そして、もう1つはエンドクレジットの最後に出てくる「Coming Soon CURSE of the PiNK PANTHER」の文字。
つまり、この後に公開される”ピンクパンサー5”への導入として作られているのですな。
(さらにセラーズの追悼作品としても・・・)

ピーター・セラーズよ安らかにというところでしょうか。
しかし、こうして主役を欠いた時のブレーク・エドワーズの才能のなさがこれほど如実にでている映画も少ないと思います。
クルーゾーの生い立ちや父親なるものが出てきますが、見ていて腹がたつほどつまらない。エドワーズだめじゃん感が漂ってます。

ファンの人なら見てもいいかもしれません。

注)
・"CURSE of the PiNK PANTHER"の邦題は「ピンクパンサー5」
エヴァンゲリオンの「シト新生」「Airまごころを、君に」の関係に似てますな。さらに亡くなってから、残ったフィルムをつなぎ合わせて公開されたという意味では「死亡遊戯」が近いも。