珍道中シリーズ

ビング・クロスビーボブ・ホープ、ドロシー・ラムーア主演の珍道中シリーズ。
一番人気の「アラスカ珍道中」がめちゃめちゃ面白かったので、いくつか借りてみました。


第1作[1940]シンガポール珍道中 Road to Singapore(1950/05公開) 監督ヴィクター・シャーツィンガー
第2作[1941]アフリカ珍道中 Road to Zanzibar(1950/10公開) 監督ヴィクター・シャーツィンガー
第3作[1942]モロッコへの道 Road to Morocco(1947/12公開) 監督デヴィッド・バトラー
第4作[1946]アラスカ珍道中 Road to Utopia(1949/02公開) 監督ハル・ウォーカー
第5作[1947]南米珍道中 Road to Rio(1949/05公開) 監督ノーマン・Z・マクロード
第6作[1952]バリ島珍道中 Road to Bali(1953/12公開) 監督ハル・ウォーカー
第7作[1962]ミサイル珍道中 The Road to Hong Kong(1962/09公開)ノーマン・パナマ
第8作[1960]よろめき珍道中 The Facts of Life(1962/08公開) 監督メルヴィン・フランク
[]は製作年、()は日本公開年。


3作目と4作目の間に第2次大戦があったので、4作目以降は戦後作。
ただし、日本公開はすべて戦後で3,4,5、1,2の順に公開されています。
3作目だけ「の道」となっているのは、これが最初の日本公開だったためです。
1作目と7作目の間に22年の歳月が流れており、7作目はドロシー・ラムーアは客演的な登場の仕方をします。


本作の魅力はC・クロスビーの歌とB・ホープのギャグ、D・ラムーアの魅力といったところですが、一番の見どころは楽屋落ちの楽しさですね。
「珍道中シリーズ見たことある?」と聞いてからお約束のギャグを始めるなど、シリーズを見ている人はもっと楽しめるように作られています。その洒落っ気が人気の秘密だと思います。

[1940][珍道中シリーズ][し]シンガポール珍道中/★★★

記念すべき第1作。C・クロスビーの歌が魅力。
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まだ楽屋落ちは出てこなくて「パラマウントのためにがんばる」と歌に出てくる程度です。
これを見るとC・クロスビーもB・ホープも2枚目キャラでかなりかぶってます。
二人とも女性から逃げるために南方にきた船員(ただし、クロスビーは大金持ちの御曹司)で、D・ラムーアにほれて、取り合いになるという話です。、
いわゆる三角関係のコメディですが、ギャグよりは歌が中心でラムーアも歌を披露しています。
ラムーアはどっちにつくのかなと思ったら結局クロスビーに付きました。
もともとシリーズ化する予定ではなかったそうで、以降はこのオチからキャラクタづけがされたようです。
B・ホープはこれが不満だったようで不仲説をあちこちで目にします。
セッセッセをして相手を殴るギャグはこのときからあります。

[1941][珍道中シリーズ][し]アフリカ珍道中/★★☆

意外な第2作。まとまりがない
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すでに買ってあった別の脚本をシリーズ用に書き直したとのこと。
ピンクパンサーシリーズの「暗闇でドッキリ」も似たような成り立ちでした)
確かに前作とは全くつながっておらず、キャラタもずいぶん違います。
見世物師で要領がいいC・クロスビーとお人よしのB・ホープがアフリカまで逃げてくるのですが、女詐欺師のD・ラムーアに騙されてアフリカ横断をする羽目になります。
セッセッセをして殴ろうとしたら、相手が先に手を出して「しまった!前作を見ているぞ」というギャグが秀逸でした。

[1946][珍道中シリーズ][あ]アラスカ珍道中/★★★★★

文句無しの第4作。楽屋オチの魅力満載。
以前のレビューはこちら
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歌とギャグが満載で、途中で解説が入る!映画というのも初めてだし、過去を回想する形式からして気合いが入っている。
「2+2は4、4+4は8、8+8は」というギャグも前作から引き継いでいる。
演芸大会に負けて「次はシナトラに唄わせる」、山がパラマウントのロゴになって「俺にはメシのタネさ」サンタクロースとすれ違っておれ達は子供じゃないと断ったら、プレゼントが女の子だった。キスをしていたら「映画だからここでやめておこう」などなど。
一番好きなギャグは(前にも書きましたが)ホープとドロシー・ラムーアが歩いているところをカメラがフォローしていると突然カメラに向かって「ついて来ないでくれよ」というセリフ。
ここまで映画をおちょくった作品は初めて見たので、しびれました。

[1962][珍道中シリーズ][み]ミサイル珍道中/★★

かなしい第7作。観るところがない
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シリーズ開始からすでに20年。相手役もドロシー・ラムーアからジョーン・コリンズにバトンタッチ。
ただし、ドロシー・ラムーアも二人を手助けする役として登場します。
今度はなんと第三世界と名乗る秘密結社の話で、ロケットに乗って月に行くというスパイもの。しかも本拠地が香港というわけのわからない状態になっています。モダンタイムスのパクリのようなギャグもあります。
セッセッセとか4+4のギャグはありますが、それ以外では見るべきものがありません。ピーター・セラーズ、デビッド・ニーヴン、ディーン・マーティンフランク・シナトラなどのゲストに頼っている部分があります。