blog開設5周年記念 2008年度劇場公開作品ベストテン

DVDレンタルが中心なので、2008年公開作品がDVDでほぼ出揃うのがこの時期。
blog開設記念を兼ねて今年もやります。
昨年(2007年)ベストテンをやらなかったので、今回は2007年公開作品も含めてチョイスしました。

2008年作品ベストテン

1位 題名のない子守唄(ジュゼッペ・トルナトーレ)
ある家庭にお手伝いとして入り込んでいく過程で明らかにされる過去の秘密とは。
2007年公開作品ですが、その衝撃度と完成度の高さで忘れられない作品です。


2位 ノーカントリー(コーエン兄弟)
コーエン作品ってあまり見たことがなかったのですが、その空気感の密度に心酔。
ジョシュ・ブローリンの存在を認識した作品。


3位 闇の子供たち(阪本順治)
ゴミ袋から顔を出す子供の顔が忘れられません。
本作に関わった全ての人たちに賞賛を送ります。


4位 ONCE ダブリンの街角で(ジョン・カーニー)
これも2007年公開作品なのですが、マルケタ・イルグロヴァがスリッパで外を歩きながら歌う「イフ・ユー・ウォント・ミー」が脳裏に焼き付いて。

5位 エージェント・ゾーハン(デニス・デューガン)
未公開作品。「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」とどちらを入れようか迷ったのですが、こちらの方が恥ずかしいくらいにメッセージがストレート。しかも映画製作中に本当にイスラエル人とパレスチナ人が本当に仲良くなったエピソードにコメディの未来を感じました。

6位 ヒトラーの贋札(ステファン・ルツォヴィツキー)
お金なんかなくても面白い映画は作れる。面白い映画とはこの映画のこと。

6位 ウォーリー(アンドリュー・スタントン
映画館で家族で見ました。前半の美しさ、素晴らしさは映画史に残ると思います。

7位 インクレディブル・ハルク(ルイ・レテリエ)アイアンマン(ジョン・ファヴロー)
どちらも甲乙つけがたい出来。このレベルが作られるなら、毎日でも見たいくらい。マーベルの勢いを感じました。

8位 イースタン・プロミス(デヴィッド・クローネンバーグ)
作品としては「ヒストリー・オブ・バイオレンス」よりこちらの方が出来がいいと思う。

9位 4ヶ月、3週と2日(クリスティアン・ムンジウ)
異様な緊張感と唖然とする展開。これがルーマニアの現実。

10位 無ケーカクの命中男/ノックトアップ(ジャド・アパトー)
「JUNO/ジュノ」もいいけど、こっちの方が身につまされた。

次点 フローズン・タイム(ショーン・エリス)
女の人がだんだん綺麗になっていくのが楽しい。

2008年の傾向

2008年度公開作品の傾向として「妊娠」「子供」「ヨーロッパ移民」「スーパー・ヒーロー」の4つを挙げておきます。
■妊娠
無ケーカクの命中男/ノックトアップ」「JUNO/ジュノ」「4ヶ月、3週と2日
前2作は妊娠を契機に本当に大事にすべきものが見えてくる。どちらも”いたみ”と引き換えに大きなものを得る話でしたが、「4ヶ月、・・・」は本当にいたみだけが残る苦い結末に。
■子供
闇の子供たち」「ゴーン・ベイビー・ゴーン」「崖の上のポニョ」「ウォーリー」
子供と大人の関係。そして子供とどう向き合っていくかと言うのが様々な出来事を通して語られた作品が多かったように思います。
闇の子供たち」は自分の子供の命を救うために他の子供の命を奪ってもいいのかという重い命題。「ゴーン・ベイビー・ゴーン」は誘拐された子供を巡る大人たちの話でした。
また「崖の上のポニョ」や「ウォーリー」は子供の目から見た大人の世界がテーマだと思います。
■ヨーロッパ移民(特にウクライナ
「題名のない子守唄」「イースタン・プロミス」「この自由な世界で」「ONCE ダブリンの街角で」
イースタン・プロミス」は売春していた女性の死がきっかけでしたが、「題名のない子守唄」はさらに代理母として、選んばれた相手の子供を生んで売る話でした。どちらもウクライナの女性ををシンジケートが食い物にする話です。
「この自由な世界」は弱者のために始めた商売が、結局は弱者を食い物にしてしまう話。最後はウクライナ移民をリクルートにいきます。
「ONCE ダブリンの街角で」も”移民女性(チェコ)”というテーマが影を落としています。
■スーパー・ヒーロー
ダークナイト」「インクレディブル・ハルク」「アイアンマン」「ハンコック」
これまでの荒唐無稽で楽しむだけの作品から、スーパーヒーローを現実のものとして何かを描き出そうとする方向に変わってきたと思います。
タイタニック」に続く興行収入記録となった「ダークナイト」は”バットマン”と言う存在を通して善と悪の姿を、「インクレディブル」と「アイアンマン」は実力派俳優を使って、本当にそんな存在があったらどうなるかをシミュレーションしています。
「ハンコック」も前半はよかったのですが、ウィル・スミス作品の例に漏れず後半はメタメタでした。
この流れの頂点として「ウオッチ・メン」が続いているのだと思います。

マイブーム

自分の中でブームになったもの。

金田一耕介シリーズ
犬神家の一族」「獄門等」「悪魔の手毬唄」「女王蜂」「病院坂の首くくりの家」「犬神家の一族(2006)」
2006年版の「犬神家の一族」をきっかけとして石田浩二の金田一シリーズにはまりました。
東宝に移ってからの2作(「女王蜂」「病院坂の首くくりの家」)はイマイチですが、前半の3作は傑作だと思います。
私が一番好きなのは「獄門島」”きちがいじゃがしかたがない”。

アガサ・クリスティ シリーズ
オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」「クリスタル殺人事件」「地中海殺人事件」
欲しかったシリーズがキャンペーン化されたのでまとめ買い。(「オリエント」はレンタルで観ましたが)
「オリエント」は舞台劇の香り。「ナイル」は色んな再現シーンを見せながら犯人探しをさせる映画的な手法で対称的でした。
「クリスタル」と「地中海」は女優で魅せるタイプ。どちらも楽しめました。

ピンクパンサーシリーズ
ピンクの豹」「暗闇でドッキリ」「ピンクパンサー3」「ピンクパンサー4」「ピンクパンサーX」
こちらも安売りで見つけて、その面白さに買い集めてしまったパターン。
これだったら最初からBOXを買えばよかったと後悔しています。(BOX版では「ピンクの豹」にブレーク・エドワーズの解説が入っています)
この中では「ピンクパンサー3」がダントツだと思います。
ただ、「ピンクの豹」「暗闇でドッキリ」の60年代テイストも捨てがたい。完全に別物として観るのがいいかもしれません。
なかなか手に入らない「ピンクパンサー2」や「ピンクパンサー5」「ピンクパンサーの息子」「クルーゾー警部」もいつか観たいと思います。
ついでに”撮れば撮るほど駄作になっていくブレーク・エドワーズ作品"も追いかけてみたいです。