キャスト・アウェイ/★★★★★

これぞ無人島映画の決定版。実はCGで巧妙に作られた作品。
キャスト・アウェイ [DVD]
最初にこの映画を見たときなぜロバート・ゼメキスが撮ったのか謎だったが、コメンタリを聞いて納得した。
実際にはほとんどの画面でCG処理が入っており、ゼメキスのイメージに忠実に再現された自然だったのだ(もちろん程度はある)。過去のフィルモグラフィを見るまでもなく、現実よりは絵を作り出すことに常にチャレンジしていた監督ならではの作品だった。
またBGMとしての音楽が入るのは映画の2/3を過ぎたあたりで、それまでは効果音が主人公の心情を表すように設計されているとか。その意味で同時録音した音はほとんどないとのことだった。音に関しては虫や動物の声は禁止。画面に映っていたらCGで消す(実際には写らなかったようだが)などの制約を設けストックなまでの徹底ぶりだ。
コメンタリには監督のほかに撮影、特殊効果、音響効果担当が参加しているが、この作品がいかに厳しい制約で作られているかが語られる。

初見のときあまりに「見たいものを見せる」絵作りがただのものではないと思っていたが、CGで岩を削り、潮を増やし、水しぶきを足し、海を描いていることを聞くと納得である。
お気に入りのヘレン・ハントだが、この映画ではイマイチ向いていたとは言いがたいのが残念。ラストの新たな出会いを予感させるシーンが気に入っている。

コメンタリの最後に監督が「テスト試写」で苦労した話をしているが「テスト試写はまったく意味がない。もう絶対にやらない」と宣言していたのは笑った。

なお、DVDのパッケージにはコメンタリが収録されていることが全然書いておらず再生して初めて気がついた。とても儲けた気分にさせるDVDだった。