Mr.&Mrs.スミス/★★★★★

殺し屋稼業の共働き夫婦。ぜひとも「2」を作って!
Mr.&Mrs.スミス プレミアム・エディション [DVD]
頭の悪いアクションかと思ったら、意外や意外、脚本が良く十分に楽しめた。正月興行映画であることを考えると、申し分ないんじゃないか。これは劇場で見たかった。


脚本はこれが映画デビューのサイモン・キンバーグ。


(1)派手なアクションでありながら、実はありがちな夫婦の姿を描いている

先日見た「誰にでも秘密がある」もそうだが、恋人(または夫婦)の間で秘密がお互いの間を隔てていたが、秘密がばれた(お互いに何でも打ち明けられる)状況でお互いの本当の気持ちに気づくという展開がオーソドックスでありながらとてもよい。そういえば「トゥルー・ライズ」も夫婦の秘密がテーマのアクションでした。

(2)奥さんのキャラクタが魅力的。旦那より腕もキャリアも上で負けず嫌い

最初の射的のシーンがこれを見事に表現しており、笑えると同時に二人のキャラクタを紹介する見事なシークエンスになっている。これが、中盤のクライマックスに結びついている。

(3)これって要は”同業の共働き夫婦”?

この夫婦、ある意味”同業の共働き夫婦”ともいえるので、裕福な生活をしていたり、それぞれ生活が独立していたりといかにもな生活が見て取れる。またお互いにプライドがあるため、ためらいながらお互いのキャリアを聞く場面など抱腹絶倒。

(4)ただの派手な夫婦喧嘩?

この映画、ハイライトはなんと言っても家の中での銃撃戦。一級の殺し屋同士が家の中で撃ち合うのだからその派手さは言わずもがなだが、どこかユーモラスで結局犬も食わない派手な夫婦喧嘩になっている。ちなみに、SHOWBIZで言っていたが、この「映画史上最も派手な夫婦喧嘩」といわれるシーンは、最初に監督のダグ・リーマンの演出で撮ったが使いもにならず、第2アクション監督が取り直しているそうであります。


これだけの、脚本の良さにダグ・リーマン(「ボーン・アイデンティティー」)の演出の切れ、そしてブラビ、アンジーの好演が光って十分楽しめる娯楽作に仕上がっていると思う。
特にアンジーが好演。これを観てアンジーのことを好きにならない人はいないだろう。

本当の夫婦になって、子供も出来たところで、ぜひ第2作(今度は子供が誘拐されるんだろうな)をお願いします。<7/19追加>
再度コメンタリを聞きながら見直したが、「トゥルー・ライズ」「ローズ家の戦争」「ロングキス・グッドナイト」などを参考にしたと言っていた。特に「ロングキス」は好きな作品だけにちとうれしかったりして。
なお、コメンタリでは「これだけの大スターをロケ(ロサンゼルスの外)に出すには予算が足りなかった」と終始ぼやいていて、ニューヨークの設定なのにロスの街をCGでかぶせたり、苦労したらしい。また砂漠のシーンは元々雪山だったが予算が足りずに変更したなど撮影秘話(そのほとんどが関係者が多くてその調整に苦労したというぐち)が延々と語られる。おもしろーい。

もう1つ、ジョン・パウエルのラテンをベースにした音楽が秀逸であることに気がついた。こりゃ燃えるわ!。