映画ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜(2012)/★

ヤボは承知で言わせてください

観るつもりはなかったのですが、TCGカードの無料鑑賞券(3月末まで)が使えそうな映画ってこれしかなく、しかも金曜日のドラえもんの放送以来息子からのリクエストもあり、結局3年連続ドラえもん映画を劇場で見ることになってしまいました。


正直に白状するとあまりのつまらなさに、途中(気を失って)眠ってしまった事を告白します。
Yahoo!のユーザーレビューでも酷評が多く、援護する意見は「子供が喜んでるんだからヤボな事はいいなさんな」的なニュアンスが多いように見えます。
そこで、あえてヤボを承知で言わせてもらうと、
「その映画、エモーションはありますか?」
に尽きると思います。


お約束のメンバーが出てきてお約束のセリフと活躍をし、これまたお約束の悪役とお約束の舞台立てとお約束の現地民が出てくる。
これだけでも客(子供)は入るでしょう。
しかも今回は豪華な声優陣や有名ゲスト(ホントにどーでもいい様な役)そして有名シンガーソングライタのエンディング曲が付いて、メディアに大量露出だ!。
興行成績としては、新ドラえもん最高の出足とか。
いや、それはパブリシティがうまいだけですから。


出来で言えば、「のび太の人魚大海戦(2010)」とどっこいどっこい。いや、ちょっとはマシかな程度じゃないですか。
よく見ると監督が同じ楠葉宏三監督でした。納得です。
脚本は昨年の「新・のび太と鉄人兵団」の清水東さん。確かに話が整理されてない印象あったもんなぁ。去年が良かったのは寺本監督だったからか。


さっきの「エモーション」に戻るけど、エモーション=感動とすると、とってつけたような昔話やら「胸が暖かくなる」的なセリフがどうのって話になるけど、エモーション=情動と定義すると、言いたい事が少しは伝わる気がする。
「興味の持続」と言い換えてもいいけど、要はドラえもんなんて「何でもアリ」の設定なのだから、かえってきちんとストーリーなりルールなりがないと成り立たない映画だと思うのだが。
序盤にカブトムシに絡めて「パパ」との関係を出すのはイイとして、TVで絶滅種の放送をみんなで見るとか、とりもちで絶滅種を捕獲するとか、しかも捕獲した絶滅種をもとに戻さずに未来の保護区で保護してもらうとか、展開がめちゃくちゃでもう最初から話を投げ出してるとか思えない。
しかも、カブトムシを探しているのにドードー鳥?とか捕まえてるし。
そもそも強いカブトムシが欲しかったんじゃないの?>関係者


まあ、この辺りは百歩譲ってよしとしても、未来から保護しに来たロボットが30年間違えてのび太父を連れて行ってしまい。途中居眠りしたすきにその保護区に落としてしまいましたとさ。舐めとんかゴラ。
結局、のび太とパパを一緒に活躍させたいがためのご都合主義じゃないですか。
いや、のび太とパパを一緒にするアイデアは悪くないと思う。(ドラえもんシリーズとしてはかなり異色だけど)
ただ、そこに至るまでがいい加減過ぎて全然ノレないんですよ。(しかものび太父を一時的に記憶喪失にする荒技まで出して)
普通に現代ののび太パパを手違いで連れてきちゃったでいいじゃないですか。で、父は犬か何かにされちゃって口が利けないとか。
要は子供時代ののび太父を登場させて、何が面白いんですか?と聞きたい。


「ぼくがきみを守る」
のセリフの意味は、ただ責任感の強い子供が相手を思って言うわけじゃなくて、


守るべき者が出来た時、人は初めて強くなれる。


って意味じゃねぇの。だから生まれた子供を抱えて言うんじゃねぇの。
子供時代のパパに言わせて何が嬉しいの。
パパが子供であるのび太に言うから意味あるんでしょう。
これだけ舞台立て(それも強引に)をしておきながら、根本のところで間違っているのが許せない。もったいない。作り直して欲しい。


と、色々言いましたが、少なくとも息子は「面白かった」と言っているので、これ以上ぼやくのは止めます。


最後にお口直しにとても温かい眼差しで語っているサイトを紹介しておきます。
■2013年映画ドラえもんを勝手に自作するブログ
http://blog.livedoor.jp/doraeiga2012/archives/52001120.html
原作コミックとの相違を中心に語っています。原作はもっと酷いとか。


藤子不二雄ファンはここにいる/koikesanの日記
http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20120306
ファンの人ってこんなに暖かいんだと胸を打ちます。ものすごく優しい文章。