ミスター・ノーバディ(2009)/★★★★★

溢れるイメージの洪水。そのセンスに脱帽!
Mr Nobody [Blu-ray] [Import]

ストーリーよりもセンスで勝負する映画だから、行きつくところ「合う」か「合わない」か。
私はそのセンスにやられちゃいました。フランス映画って粋だよな。


9歳の時に直面した人生最大の決断。それが両親の離婚。
父親について残るか母親について旅立つか。究極の選択を迫られるニモ・ノーバディ。
さらに将来の伴侶となるかもしれない3人の女性たち(アンナ、エリース、ジーン)
この組み合わせ(+α)でそれぞれを生きた人生をシャフルさせながら描いていく。
はたしてどの人生が幸せなのか?その選択は正しかったのか?。


半端なくお金の掛った作品で、ちょっとした場面でもキチンと映像化していてビックリ。
タンクローリーの爆発とか数秒のシーンでも映像化されている(CGだからってタダじゃないもんね)。
なぜか宇宙シーンもあれば子供の誕生日に踊りだすイタいお母さんの場面もある。
でも、どれもがこの「ミスター・ノーバディ」という映画を構成しているピースになっているのが凄い。


主演はカメレオン俳優ジャレッド・レトー。老人から金持ち・貧乏い至るまで12通りの人生を歩む役を演じている。
対する女性陣のアンナ(ダイアン・クルーガー)、エリース(サラ・ポーリー)、ジーン(リン・ダン・ファン)。
相思相愛なのに親の都合で引き離されたアンナが中心なのだけれど、私は壊れた母親を演じたサラ・ポーリーが忘れられない。(15歳のエリースもすごくいい)
少なくともこのエリースのエピソードでいい話なんて全くないのによく出演するなぁとむしろその潔さに感心する。


監督はジャコ・ヴァン・ドルマル(「トト・ザ・ヒーロー」未見!)。これだけのイマジネーションと構成を作り上げた手腕は見事としかいいようがない。細部に至るまで監督の気が配られているのだろう。
そのセンスオブワンダーとも言えるイマジネーションの世界に資金を投入したプロデューサーにも感謝したい。


正直一度観るとぐったりするような作品だが、ふとした時にシーンを思い出すようなタイプ映画だと思う。また観たい。


なお、サントラもイイ。