私の中のあなた(2009)/★★★★

その設定についていけないが中身は丁寧。
私の中のあなた [DVD]

キャメロン・ディアスが母親役となる難病物で、白血病の姉のためのドナーとして生まれてきた妹が、もう姉のドナーにはならないと両親を訴えると話。

まずは映画として。
監督が「きみに読む物語」のニック・カサヴェテス。(お父さんがジョン・カサヴェテス監督だ!)
きみに読む物語」は正直それほどいいとは思わなかったが、本作では病気の姉をキチンと見せていて好感が持てる。ただし後半はイメージシーンに流れすぎて腰砕けの印象。
こうゆう映画は本当に難しいと思う。抑えすぎると地味になるし派手になると白けてしまう。そのあたりの匙加減が腕の見せ所だと思う。
本作に関して言うと丁寧に作られているのはよくわかるが、終盤が盛りすぎて白けてしまった感じ。残念賞と言ったところか。


キャスティングはすごく良いと思う。
元弁護士で長女の世話に没頭する母(キャメロン・ディアス)、消防士で温厚な父(ジェイソン・パトリック失読症で別の学校に入っていた兄(エヴァン・エリングソン)、白血病の姉(ソフィア・ヴァジリーヴァ)、そして裁判を起こす妹(アビゲイル・ブレスリン)。家事を手伝いにきている叔母(ヘザー・ウォールクィスト)、弁護を引き受けた介護犬を連れた弁護士(アレック・ボールドウィン)。
どれもがはまり役で見事なアンサンブルだ。

その中でも飛びぬけて印象に残るのが判事となるジョーン・キューザック。(ジョン・キューザックの姉)。
娘を事故で亡くし休職していたが復帰第1回目の裁判がこの訴訟という設定。
自らも娘を亡くした判事(母親)が、死ぬかも知れない長女と自分の体を守るという次女、そして家族を第一に尽くしてきた母親。それぞれの主張を聴くという難役に見事に応えている。素晴らしい。


最初に言ったが、ドナーのために子供を作る(試験管ベビー)という発想自体が馴染めないが、子を持つ親としてはいろいろ考えさせられるし、身につまされるエピソードも多い。ただし全体にユーモアが散りばめられているので変に深刻にならないのもよろしい。

観てよかったと思える作品だった。