グリーン・ゾーン(2010)/★★★★

メチャメチャ面白いけれど、作るのが3年遅い
グリーン・ゾーン 【ブルーレイ&DVDセット・2枚組】 [Blu-ray]
ポール・グリーングラスマット・デイモンの戦争もの。
大量破壊兵器”を探す米軍兵士(マット・デイモン)があまりのガセネタぶりに「ガセだ!」と騒いだところからCIAは寄ってくるは、「要人を見た!」とタレこむイラク人は来るわ、「兵器は見つかった?」とジャーナリストは声かけてくるわ、どんどん核心に迫っていく。
で、肝心の”大量破壊兵器”がないことは見る側は最初からわかっているわけで、いまいち感情移入しずらい。
しかも随所にご都合主義がちりばめられ、1兵士のはずのマット・デイモンのスーパーマンぶりったらもう。行動に一切迷いがなく最初から決まっていたかのように次々と解決していく。
(ただし、主役がジェイソン・ボーンなので観ている間は全く違和感がない)


最後の決着もなんとなく読めたので、観終わってもなんだかなーという感じでした。


じゃつまらなかったというと、これが困ったことにメチャメチャ面白いんです。
ある意味ジェイソン・ボーンシリーズの4作目のようなもので、しかも「記憶がどうの」「長官がどうの」といった”しがらみ”がなく、ボーンの超人ぶりがたっぷり楽しめてスカッとする。
臨場感が凄いのでこれも劇場で観るべき作品だったと思います。撮影は「ハートロッカー」と同じバリー・アクロイドというのもポイントですな。


ただ、最初に言った通り”大量破壊兵器”がないことはみんな知ってるわけで、しかも戦争を起こした張本人はすでに大統領でないことを考えると、「なんでこの時期に?」と首をかしげざるを得ない。
少なくともブッシュ政権時代に作られるべきだった。

その意味で前田有一氏の「お笑いプロパガンダ」という説に賛同します。
(前田さんの批評に共感することってあまりなんいんですが・・・)
グリーン・ゾーン - 前田有一
http://www.cinemaonline.jp/review/geki/12051.html


ポール・グリーングラスって突出した演出力を持つだけに政治的に利用されやすい監督なのかなと思いました。


ps.この映画を観た直後に”尖閣諸島「流出ビデオ」”のニュースを見たのでよけいにびっくり。
日本もアメリカも変わんないな。