ヒズ・ガール・フライデー(1940)/★★★

一度は挫折。洪水のような会話とテンポのよさが売り
ヒズ・ガール・フライデー [DVD]
ケイリー・グラント主演のスクリューボール・コメディの傑作として紹介されることが多いようです。


新聞編集長のケイリー・グラントに敏腕記者で別れた元女房(ロザリンド・ラッセル)が再婚することを告げにくる。未練たらたらなケイリー・グラントは何とか彼女を引きとめようと一計を案じる。それは明日死刑執行が予定されている警官殺しの犯人の取材だった。


正直に言うと、一度は途中で見るのを止めました。なぜなら本作のケイリー・グラントはあまりにも酷いやつだったからです。
最初に「新聞記者が殺人以外はなんでもする時代」と字幕が出ますが、自分の目的のためなら他人のことなどお構いなしという感じで登場します。
私は、元妻とその結婚相手(保険会社に勤める堅いサラリーマン)を誘い出し、昼飯を一緒に食べるあたりで、ついて行けなくなりました。
この時、グラントは社に「列車を止めるためにあらゆる手を打て」と電話したり、入る気もない保険に加入したいと結婚相手に持ちかけたり、小銭ない?といって相手に昼飯代を持たせようとします。
まあ、コメディなので目くじら立てても仕方がないのですが、その傍若無人ぶりがどうも。


ただし本作のケイリー・グラントは現代でいう高田純次であることに気がついてからは、気楽に楽しむことができるようになりました。
高田純次って相手を馬鹿にしたり、話を全然聞いてなかったり、顔は笑ってるのに目は笑っていなかったりするじゃないですか!。本作のグラントもまさにそんな感じ。
相手の話を聞く振りして、次の事を考えていたりするんですよね。でもそうゆうキャラだと思えば腹も立たないし、こちらも「次は何をするんだろうと」楽しみになる。そんな風に思います。


本作の魅力はなんと言ってもマシンガンのように繰り出される会話のテンポとどんどん転がっていく展開にあると思います。特に死刑囚を匿うあたりは抱腹絶倒です。
私は元妻がだんだん新聞記者魂を発揮させるあたりと、義理の母親に遠慮しつつ邪険にするあたりが好きです。


本作はセリフの洪水で、正直字幕ではその半分も楽しむことができませんでしたが、雰囲気だけでも十分楽しむことができました。

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なお、コスミック版で視聴しましたが、画質はボケてるが何とか見られるレベル。それよりプチプチとノイズが入っているのが少々残念でした。