春が来れば(2006)/★★★★

チェ・ミンシク主演のほのぼのドラマ。見てよかった。
春が来れば デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]


同棲までしていた彼女とも別れ、今は老いた母親との二人暮しをするヒョヌ(チェ・ミンシク)。オーディションに落ちたことを契機に地方に出て吹奏楽部の教師をすることになった。
人口も減っていくひなびた炭鉱町で、やる気のない部員や道端で物売りをするおばあさん、病気の親を看病する薬局の綺麗な娘、子供に音楽をやらせたくない炭鉱夫などと交流するうちに、自分の夢も取り戻していく。
タイトルの「春が来れば」は春のコンテストまでのひと冬の教師生活をあらわしたもの。


スイングガールズ」+「フラガール」の男子版(吹奏楽部にはなぜか女の子がいない)のような話ですが、こちらは物静かでほのぼのしたテイスト。
薬局の娘と恋仲になるのかなと思ったのですが、そうはならず、叔父と娘のような関係で進行していきます。なんとなく「八月のクリスマス」を思い出しましたが、本作の監督がそのときの助監督さんだったそうで、納得しました。
また、次々と移っていく眼帯やポンコツの車、夕飯のインスタントラーメンや食事の場面、主人公の作曲した曲や元彼女とのちょっとしたすれ違い、海岸や街にかすかに流れるトランペットの音色。韓国映画といえばあざといくらいの偶然が魅力でもあり、鼻についたりもするのですが、本作ではあえてそこをはずして抑揚の効いたテイストと豊かなディテールで物語りは進行します。


チェ・ミンシクは本作でもだらしのない男を演じていますが、母親を大事にして喧嘩も弱いので、先日見た「クライング・フィスト 泣拳」とはずいぶんと雰囲気が違いました。


全体的にゆっくりとしたテンポで(少々長すぎるのが玉に瑕ですが)、見た後はほのぼのとする。見てよかったなと思える作品でした。
チェ・ミンシク作品にはずれなしです。