錨を上げて/★★★★

ねずみのジェリーも踊るよ!ケリー&シナトラシリーズ第1弾。
錨を上げて [DVD] FRT-217
海兵隊のケリーとシナトラが休暇先に降りたのはロサンゼルス。期間は4日間。恋人のローラに会うために喜び勇んだケリーだが、ひょんなことから男の子を家に送る羽目になる。
少年は両親ともなく、伯母のスーザン(キャスリン・グレイソン)が育てていた。スーザンは歌手志望で今は映画のエキストラで養っていた。
まず、シナトラがスーザンを好きなり、ケリーに仲介を依頼。有名な音楽家"イトゥルビ"氏と知り合いで、オーディションを受けさせてあげるとウソをついてスーザンに取り入る。
感激したスーザンはシナトラとデートすることを承知するが、シナトラはついたウソが気になって、どうしても打ち解けられない。そうこうするうちにケリーがスーザンを好きになり、シナトラは別の子が好きになっちゃうという話。


ケリーは女好きで口八丁。シナトラは引っ込み思案で奥手といった役柄で、これはシリーズでも一貫して同じです。
他作品ではともすれば嫌味になりがちなケリーですが、本作ではさらに夢想家で子供好き。見知らぬ男の子も、放っておけず家まで送っちゃうという、かなり好青年なキャラクタです。

小学校を訪ねて"海軍の話をして"とせがまれると、おとぎ話をはじめます。これが"歌や踊りが禁じられているマンガの国"でネズミの王様(トムとジェリーのジェリー)と一緒に踊ります。
そのほかにも女の子と道で踊るシーンもよく出来ていますし、スーザンに告白する時も映画のセット内で"君がお姫様でボクが山賊だったら"とか言って、踊りながらお城を駆け上がります。(この場面はザッツ・エンタテイメントにも出てきました)
まさに歌う体操お兄さん(笑)ですね。


本作ではピアニスト兼指揮者のホセ・イトゥルビが実名で登場しており、ピアノを弾く場面がふんだんに盛り込まれています。
圧巻はハリウッド・ボール(有名な野外音楽堂)でのピアノ20台との連弾。たっぷりと聞くことが出来ます。


シナトラも随所に歌を披露しますが、それよりも、ウエートレスとの雰囲気がとてもよくて、デートの練習の相手をしてもらう所や、告白する場面は見ていて微笑ましかったです。


音楽はクラシックが多く使われており、オリジナルで耳に残る曲がありませんでした。ケリーの踊りはとてもいいんのすが、ミュージカルとしてはちょと落ちると思います。

監督はジョージ・シドニー(「三銃士」「アニーよ銃をとれ」「ラスベガス万才」)。
そういえば「キス・ミー・ケイト」もドラマ部分はよかっけど、ミュージカルとしてはイマイチでした。
出だしがバズビー・バークレー風(人を幾何学模様に並べて、俯瞰で撮る方法)だったり、ピアノの鍵盤を透明にして下から撮ってみたり、カメラのレンズに被写体を反射させてみたりと、色々と面白い実験もしています。


でも、本作の最大の問題は2時間20分(!)とミュージカルしてはかなり長い点でしょう。いかにドラマと音楽の両立が難しいかを証明する形になりました。

アーサー・フリード製作の「踊る大紐育」と比べると面白いと思います。


ところで、あの一気に飲むココアはどうやってるのでしょうか?

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キープ版で観賞しましたが、ほぼ標準的な画質で悪くはないのですが、ところどころ色ずれのがありました。これも正規版で買うのが正解のようですね。とほほっ。