21グラム/★★★★☆

複雑な編集と役者の力量で魅せる悲劇のドラマ。安全運転でお願いします。
21グラム (初回出荷限定価格) [DVD]
ショーン・ペンナオミ・ワッツベニチオ・デル・トロ競演の「命」を巡るドラマ。「バベル」で話題のイニャリトゥ監督作品。評判は聞いていたのですが、なかなか借りてまで見る気にならなかったところ、地上波で放送されたのでやっと見ました。


交通事故を起こし刑務所に入るものの、その悪夢から逃れられないベニチオ・デル・トロ。夫と娘達を失い悲しみから立ち直れないナオミ・ワッツ。その夫から心臓を移植されたショーン・ペン
この3人がやがて絡み合い、さらにそれぞれの人生が狂っていく。


時間軸をずらして、細かく編集されているので最初のうちは何がなんだか分かりませんが、話が繋がっていくにつれ悲劇の深刻さが見えてくる仕掛けになっていました。
実際に編集も上手くて、ペンがデル・トロに銃を向けるシーンの後に、なぜかペンが負傷して病院に運ばれるシーンが続きます。そして、そこで何があったか分かるのはもっと後です。
よく出来ていると思います。


ただ、場面がブツ切りになっているので、観る側の気持ちが離れがちですが、それを役者の力量が持たせている。へたな役者では成立しない手法だと思います。
最初は誰だか分からないくらいに憔悴したペン。完全にいっちゃったデル・トロも凄いんですが、やはりナオミ・ワッツが感情を爆発させる場面にはぐっときました。
ただ、ラストはそれぞれに救いがあったので見た後は、意外にも暖かく感じました。


私は感じたこの映画の感想は、やはり安全運転は大事だなと。そして(なぜか)もっと真面目に生きようと思いました。決して他人事ではないと思います。