ステイ /★★☆

オチは分かるが作品の存在理由が分からない
ステイ [DVD]
アイデンティティ」とか「フレイルティ/妄執」のようなタイプの作品でした。
まあ、それならそれで構いませんが、そこに至るまでのドラマの意味が分かりませんでした。(もっと言うとこの作品の意味自体がよく分かりません)
出演はちょっと太くなったユアン・マクレガー、「21グラム」のナオミ・ワッツ、「きみに読む物語」とは別人のライアン・ゴズリング

なお、DVDのコメンタリは一部の場面のみ収録しており、メニューから選択できるようになっていました。だからどうと言うことはありませんが。


以下「ステイ」に物申す(ネタバレ注意!)


臨死体験」というテーマもいいしラストも感動的でした(それまでが不条理劇だったので、ここで一気に盛りあがります)。でもこれってライアン・ゴズリングの見た夢ですよね。じゃなんでカウンセリングから始まるの?なんでユアンがゴズリングを追うの?ナオミはなぜゴズリングのことばかり気にするの?ゴズリングがそれを望んだから?。しかも夢の中ではゴズリングはプロポーズまでする相手をコーヒーショップで挨拶するだけの関係と言っています。
アイデンティティ」しかり「エターナル・サンシャイン」しかり「バタフライ・エフェクト」しかり、さらに「シックス・センス」しかり「ファイト・クラブ」しかり。オチから生まれるドラマの必然性ってあったと思うのですが、本作からはそれが感じ取れません。
(偉そうなようですが)私だったら、画家のユアンとウエートレスのナオミが運命的な出会いをしてプロポーズするが、互いに自分の記憶が曖昧で両親からも憎まれている。ユアンは買った記憶のない指輪と銃を持ち、"その日"に破局すると知っている。みたいな話にしますね。つまりゴズリングの望んだ人生をなぞるが、終わることも知っている。みたいな。
凄くいいアイデアだし、最後はとても感動的なのにもったいないと思うんです。いい役者も使っているのに。つい文句の1つも言いたくなります。
脚本もアレなんですが、演出も不条理さを前面に出していてこれ見よがしにも見えます。もっと普通にもっと抑えて、最後の最後にあっ!と言わせて欲しかった。残念。