グエムル 漢江の怪物/★★★★

場面場面は凄いのだが・・・
グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション [DVD]
展開が「アストロ球団」的というか「エヴァンゲリオン」的というか。
たしかに場面場面でみると緊迫感があり「次はどうなるんだ!」とぐいぐい興味を持たせるが、
次の瞬間肩透かしを食うようなところがあり、見終わった後はなんとも言えない気持ちにさせられた。
具体的には、兄妹それぞれの身に降りかかった災難(というか試練)の割には次の場面では何もなかったように活躍している辺りで、特に頭の手術はこの筋に本当に必要だったのか首をかしげるところがある。


しかるにボン・ジョノ監督は「怪物映画」ではなく、「非日常下の日常」が描きたかったのではないかと思う。そのための設定が「怪物」だったわけだ。
さらに反(嫌)米の表現も、あくまでも社会を抑圧する(あるいは怪物を創出する)たの存在でしかないので、それほどメッセージが込められているわけではない。


しかし、この監督の演出力は凄い。どの画面も緊迫していて、緊張感が途切れることがない。
しかも独特のユーモアも健在で、特にジャージ姿の次女は完全に3(枚目)の線。
ただ、テーマがテーマなので笑っていいやら悪いやら。


ちなみに2006年の香港映画祭で最優秀作品賞を取ったそうです。おめでとー。