荒野の決闘/★★★★

これは西部の人情ドラマだ
荒野の決闘 [DVD]
「西部劇」というより「西部の人情ドラマ」といった感じで、ドンパチよりも「床屋の椅子」とか「シェークスピア」とか「ダンス」とか、そんなシーンが印象に残ります。


ヘンリー・フォンダが伝説の保安官ワイアット・アープを演じるのですが、飄々としていてどこか頼りなさげな感じ。
対するヴィクター・マチュア演じるドク・ホリデイは強持てで、女にもモテモテ。さらに医者としての腕も一級だが、肺病を患ってアル中という複雑な設定。
また、ドクにはチワワという愛人の酒場女がいるが、ドクを慕って東部からお嬢様のクレメンタインが追いかけてきたところを、さらにアープが一目惚れしちゃう。うーん複雑。


アープはクレメンタインが好きだが、クレメンタインはドクが好き。
ドクは自分が肺病のため、クレメンタインにわざと冷たくし、それに安心するチワワはクレメンタインにつらく当たるという風に、もうグチャグチャ。
さらに、クラントン一家との対決もあって、昔の映画はキャラクタや設定が本当にうまいなぁとため息が出た。


さらに、これだけ複雑な関係をセリフでなく、それぞれの様子で分かるように描き、また見るものを飽きさせないジョン・フォード演出はさすがだと思いました。
最後の対決シーンはイマイチだと思いますが、全体的にほのぼのとしてなかなか楽しめました。

    • -

なお、TV録画(もちろん吹替え)したもので観賞し、手持ちのコスミック版と比べましたが、やはりTV版のほうが、感情移入しやすいし画質も上。
コスミック版はコントラストが低く、暗い部分がつぶれ気味なのが残念。