イン・ハー・シューズ/★★★★★

奔放な妹と堅物の姉の物語。さらっと描いているが実は重い。秀作でした。
イン・ハー・シューズ [DVD]
性格が正反対なマギーとローズの姉妹が、あることで喧嘩別れをするが、やがてそれぞれが幸福を見つけ出し成長していく物語。
奔放な妹を演じるキャメロン・ディアスは、服を着た(露出が高いくない衣装の時)の演技がよく、本当はきちんとした職(前半のトリマーのような)につきたいのだが、難読症と誘惑に弱いという弱点から定職にもつけずに、両親や姉のタンスからお金を拝借する生活に疲れ果ててい妹。逆に姉のトニ・コレットは(本人はすごい美人なのに)ブスでデブで自分に自信のない役どころ。これに祖母役のシャーリー・マクレーンが随所で盛り立てているのだから、つまらなかろうはずがない。

しかし、最も優れているのは原作のジェニファー・ウェイナーを含めた脚本のスザンナ・グラントだろう。
二人がそれぞれ8歳、6歳のときに母親が交通事故で亡くなっており、この後、祖母とは縁が切れ、父親は別の女性と結婚、姉は母親同然に妹の面倒をみてきた。しかもこの母親が実は少々精神を患っており、亡くなる二日前に突然二人に娘たちとNYのデパートに出かけていくエピソードが語られるが、妹は”最高の日”と記憶しているのに、姉は事故に繋がる出来事として心に秘めている。そのほかにもお弁当箱の中身がサンドイッチでなくティアラだったりとかなり悲惨な過去であったことが語られるが、画面ではサラッと流れていく。
また、老人ホームで出てくる老人たちの一言がすばらしく「うまいっ!」と思わせられるものばかりだった。

また、監督のカーティス・ハンソン(すみません「 ブリジット・ジョーンズ」のリチャード・カーティスと間違えていました)の演出は前半のトリマーのシーンや後半のトランプのシーン(キャメロン・ディアスシャーリー・マクレーンのガチンコ演技!)に代表されるように場面を丁寧に描いていてとても好感が持てた。

ただ1つ注文をつけるとすれば、トニ・コレットと付き合う男性2人の姿があまりにもステレオタイプで現実味が薄いところか。

これはなかなか侮れない、秀作の1本でした。