ALWAYS 三丁目の夕日/★★★★

ベタだから泣ける。「昭和」を舞台に持ってきた発想が秀逸。
ALWAYS 三丁目の夕日 通常版 [DVD]
最初は、原作の小説家と吉岡秀隆のギャップがありすぎて違和感があったが、次第に引き込まれるうちにこれはこれでよいと思えるようになった。
昭和を舞台にしたことにより、韓国映画のようなベタな話でも十分通用する設定にもってきたのが、生きており、エピソードの間にフェードを入れるのもその流れだろう。

全体的に女優ががんばっていて、小雪の飲み屋の女将、だんだん鈴木オートに馴染んでいく六子(堀北真希)、鈴木オートの奥さん(薬師丸ひろ子)が生き生きと演じている。特に薬師丸ひろ子が抜群の存在感を出しておりもう少し疲れた感じが出れば文句なしだろう。

泣かせる場面はいっぱいあるが、私は宅間先生(三浦友和)が一杯やった帰りにお土産を貰って家に帰るシーンが一番ジーンと来た。この後、実は先生の家族は戦争で亡くなっており一人暮らしであることが語られるのだが、なんの変哲もない場面だけに「幸せ」というものをスクリーンに焼き付けた名場面だと思う。
逆に、淳之介の父親が妙に高飛車なので最後の展開が読めたり、小雪の場面もあまりにも良過ぎてこちらも読めてしまったりと、決して「ベタ」だからといって物語が作りやすいわけではないことを証明している。「ベタ」は「ベタ」なりに気持ちよくさせる展開と言うものがあるのだ。

ところで、一緒に見ていた息子に「スカってなに?」と聞かれてしまった。たしかに、今は「スカ」って言わないよなぁ。