プリンセス トヨトミ(2011)/★★

どこに勝算があったのか?
プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション
なんとなく惹かれるものがあって、原作を読み終わった時にちょうどTVで放送。ありがとうフジTV。
ところが見てビックリ!綾瀬はるかは「旭ゲンズブール」でなく「鳥居」になっていました。
読んでる最中はずっとゲンズブール綾瀬はるかで脳内変換が行われていただけに、まるで別の映画を見ているぐらいの違和感がありました。
なんで設定変更したん?


さらに、読んでいるときは気にならなかったのに、映画になるときになるのがそのリアリティのなさ。
もともと映像化が難しい話だと思うが、これが「映画になる」と思った勝算はどこにあったのか?と聞きたくなるような100%ありえない話になっていました。


原作では「大阪国」の成り立ちや、いかにその存在を隠すために細心の注意が払われているかなどが事細かく説明されており、その上での物語なのに、映画ではそれをあっさり踏み越えています。
まず大阪国の存在は女性は知らない(ことになっている)はずなのに、「ひょうたん」を女の人も置いていたり、大阪が無人になってしまったりしている。(大阪城に集まったのは男たちだけなのに)
事件当日の集合時刻は16:00(つまり夕方)。一斉に大阪のオヤジだけがいなくなる(大阪城に集まる)はずで、街が無人になるわけではないのです。
さらに、マスコミや警察、交通機関などにも大阪国民がいるので、大阪城行きの特別列車がひそかに編成されていたり、こっそり番組を差し替えてたり、大阪城近辺に交通整理の警官が出動していたりするのだが、そういった場面が全くありません。
さらに大阪国の話は一子相伝で誰にも話してはいけないため、本人たちも半信半疑で集まったところ大勢の人が詰めかけたという所が面白いのだから、もっと色んな父子(おやこ)を出さないと成り立たない。
その他気になったところ

  • OJOの監査はゲーンズブールだけでなく、国家(中央)からの指示だった
  • 大阪国総理は持ち回り制のため、今回はたまたま中井貴一(真田幸一)が当番だった。
  • 毎年使われる5億円の予算は、大阪国会の維持管理と大阪国住民管理(のためのスーパーコンピュータの処理代)に使われている。
  • 大阪国が発覚するきっかけとなる設計者の辰野 金吾の話が一切出てこない。(「ナショナル・トレジャー」的に映画的に美味しい部分だけにもったいない)


キャスティングについても、色々不満がある。
まず、中井貴一は大好きだけれど、この話には格好よすぎます。もっとコテコテの大阪人でなければいけません。綾瀬はるかの設定変更に関しては論外。絶対”ゲーンズブール”でなければ。さて、鳥居はだれがふさわしいのか?
長曽我部=笹野高史さんはいいとしても、 堤真一の父は平田満ではなく國村隼にやって欲しかった。


ちなみに、原作でもかなりの比重を占めていた真田大輔の物語は確かに難しい。原作でもあまり本筋に繋がっていたとは思えない(だって豊臣の末裔(姫)と女になりたい男の子って繋がるか?)エピソードだけに映画ではかなり端折られてはいるものの、もっとバッサリ切っても良かったのでは?という気がする。


いずれにしても、どこに勝算があってこの話を映画化したのか。
まさか冒頭3分に表わされる「無人の大阪」と「大坂夏の陣」のビジュアルだけで映画化に踏み切ったわけではあるまい。まさかな。