キック・アス(2010)/★★★★★

よく考えられているボンクラ映画
キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)
たった今観てきたばかりなので興奮が冷めやらないのですが。
ヨカッター!ヨカッタヨー!

意外と序盤の静かな展開が効いていると思います。
突然の母親の死やおサル状態のティッシュの山、とことんダサいスーツと1回目の出撃で大失敗(というか半殺し)により、この無謀とも取れる主人公の行動に感情移入がしやすくなっています。
さらに”痛みを感じない”という設定が主人公の無茶な行動にも矛盾を感じさせないようになっています。
よく考えられてるなーと思いました。

2つ目は比較的早い段階でヒット・ガールとビック・ダディが登場していること。
さらにその訓練が後の伏線になっているので、中盤のヒット・ガールの登場を十分に予感させる展開になっている点が効いています。
(つまり後だしジャンケンになっていないので、観ていてすごくフェアな感じがするんですな)

3つ目は徹底した残酷描写が嫌味になっていないこと。
変に遠慮して肝心な所を見せないのではなくあえてグロい描写をしている。ただしヒット・ガールの登場シーンで"連れの女までやっちゃうの?"という瞬間隣の部屋にカットを切り替えるぐらいの節操はある。
このあたりのバランス感覚がうまいと思います。

4つ目はネットの扱い。
有名になるものネットなら残酷になるのもネットの特徴。
"TVでは放送できませんが"となったところでみんながPCを探すあたりがすごくリアルでここだけ妙に現実味を帯びています。

もともと「ヒーローに憧れたボンクラが現実に直面してヒーローとは何かを知る」話なので、観る側を現実の話としてきちんと感情移入させつつ、ヒーロー物の爽快感を感じさせるかが鍵となることを、この製作者たちはよく判っていると思います。

さて観た人ならだれでも心を奪われるであろうクロエ嬢ですが、私も完全にやられました。
とにかくキュートで残酷で最高じゃないですか。「チョコレート・ファイター」のジージャ級のキャラクタだと思います。
ヒット・ガールと聞いて「Mr.インクレディブル」のイラスティガールを連想しましたが、キュートなヒーローはそれだけで5割増しですな。

続編が決定しているそうなのですごく楽しみです。

監督のマシュー・ヴォーン作品って1本も観たことないのですが、アクションのアイデアが豊富なのと音楽の使い方がうまい人だなと思いました。

すでに公開館も少なくなって横浜のプルグ13まで足を伸ばしましたが、その価値は十分ありました(前に誰もいなくて独り占めしている気分も味わえましたし)

とにかくこれだけは言えると思います。
キック・アス サイコー!」