ローラーガールズ・ダイアリー(2009)/★★★★★
これを撮るべき理由
開始10分を過ぎた頃不覚にも涙ぐんでしまいました。
それはエレン・ペイジとドリュー・バリモアがあまりにもかぶって見えたから。
苦労人と呼ばれるドリューが波乱万丈の10代を乗り越え、何も分からず親友とはじめたフラワーカンパニーが徐々に成功を収め一定のステータスを得るところまで来た。
今回も誰かに監督させるつもりで企画していたんでしょうが、とうとう自分が監督することを決意するする姿がそのフィルムに焼きついているように感じられたからです。
(本人も出演はしていますが)”人間ドリュー・バリモア”をより体現するものとしてのエレン・ペイジが素晴らしい仕事をしています。
初監督ではありますが、役者出身の監督らしさが随所にあります。
- キャスティングが的確で端役に至るまできちんとそれらしい人を配していること。
- 変な演出はせず役者の演技を最大限に生かしているところ。(これにより人物が生き生きと描きだされています)
- カットを丁寧に拾っていること(小さいことですがスタート前に相手のヘルメットを指ではじく所などさりげなく入っています)
- 美術や小道具に目が行き届いていること(ブタのエプロンが笑えます!)
- ローラースケートを役者本人が実際にやっていること(こういったところが大事なんです)
- 女どうしの友情(ガールズソーシャル感)全開で純粋に観ていて楽しいと思えたこと
欲を言えばローラーゲームのカタルシスがもっと欲しかったかな。
(ゲーム中のカット割が細かすぎてよくわからないとか、低い位置のカメラでずっと追うカットが欲しかったとか)
手堅い演出は同じ役者出身のベン・アフレックも初監督作を出身地のシカゴを舞台にしていたりなど”これを撮る理由”がはっきりとした作品は今のアンチハリウッドを象徴している。
これもその1本だと思いました。