レイチェルの結婚(2008)/★★★★☆

問題妹と崩壊した家族のドキュメンタリ。見たら忘れらない。
レイチェルの結婚 [DVD]
"レイチェルの結婚(式)"の物語というより"レイチェルの結婚式のために集まった崩壊家族のドキュメンタリ"という感じでした。
結婚式=更生施設の組み合わせはどっかで見たなと思ったらサンドラ・ブロックの未公開(傑作!)映画「28DAYS」ですね。
こちらは問題妹(サンドラ・ブロック)が姉の結婚式をぶち壊して、更生施設に入れられるところから始まるので、逆のパターンでした。
でも、こっちの方がずっと救いがありません。
心臓の弱い私としてはイタすぎて正視に堪えられない場面の連続。特に家族の問題児キム(アン・ハサウェイ)がスピーチする場面など下向いて聞いてました(ここだけ日本語切り替えて)

子供の死をきっかけに家族が崩壊していく話で有名なのは「普通の人々」がありますが、私は未見です。
ただ、こういった話はときどき見かけます。
見ていて「ヤマアラシのジレンマ」という言葉が浮かんできました。

弟を事故で死なせながらも、ずっと赦しと愛情を求め続けるトラブルメーカーの次女にアン・ハサウェイ。妹のトラブルに辟易しながらもどこか妹を憎めないでいる姉にローズマリー・デウィット。この2人の間に立ちながらやはり悲しみに耐える父親にビル・アーウィン
この3人がドラマの中心ですが、終盤に重要な役割を果たす母親にデブラ・ウィンガー(!)が扮しています。
※この家族が崩壊した一番の原因はこの母親が弟を亡くした次女を許せなかった事にあることが最後にわかります。

大してドラマらしいドラマがないにも関わらず、一瞬も目が離せないこの見事なダイアログを書いたのが、なんとシドニー・ルメットの娘ジェニー・ルメット。
全編手持ちカメラで撮影し、役者たちの見事なアンサンブルを引き出したのはジョナサン・デミ監督。

お互いをののしり、いがみ合う家族同士とは正反対に、本当に”いい結婚式だなぁ”と思わせる最大の功労者は”音楽”。
ただし、これは映画上の演出あってのことで、本物の結婚式ではこれほど賑やかではないでしょう。

見るとかなり嫌〜な気分になるけれど、どこか忘れられない。そんな佳作でした。