ラスト、コーション/★★★★

絡み合う視線と視線。女は信用できるのか?
ラスト、コーション [DVD]
”ラスト・コーション”と聞いてずっと「最後の忠告」だと思っていましたが、英題は「LUST, CAUTION」。原題が「色・戒」(色への戒め)。
日本に協力する特務機関のリーダー(トニー・レオン)に近づく女スパイ(タン・ウェイ)の物語。
ただし、女スパイとなるタン・ウェイの人生を中心に描いています。


これって中国版「金色夜叉」ですか?いや、そんなことはない。
女は決してダイヤに目がくらんだ訳ではないが、その”誓い”(あるいは証)に心を動かされたのは確かだろう。(「戒」の字には誓いという意味もあるという)
演出家は遅すぎたキスなどしなければよかった。
”体だけ”と思って近いづいたつもりが、結局心も許してしまった彼女を見て、「だから女は信用できない」と思うか、「だから女は信用できる」と思うか、これを見た男達に聞いてみたい気がする。
私は「むしろ、だからこそ女は信用できる」と思ったが。(つまりトニー・レオンの立場により共感したわけだが)


印象的なのが、絡み合う視線とそれを執拗に追うカメラ。
特に麻雀のシーンが象徴的で、お互いの腹を探り合うかのように交わす視線と、それを執拗に追うカメラ。
もうパンとかズームとかいうレベルではなく、本当にカメラが上下左右に振れてお互いの視線を追います。


なお、話題になったSEXシーンですが、たしかに"おやっ"とは思うけど、それ以上ではないという感じ。それより料亭での歌の場面の方が印象に残りました。