オリエント急行殺人事件(1974)/★★★★☆

豪華なキャストと豪華な音楽
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
本作の成功が「ナイル」「クリスタル」へと続いていく。
とにかくキャストがすごい。地味な役を自ら希望したイングリッド・バーグマン、対照的に派手な役のローレン・バコール、本当に悪を感じさせたリチャード・ウィドマーク、執事と言ったらジョン・ギールグッド、輝いていたジャクリーン・ビセット、知的な魅力のヴァネッサ・レッドグレーヴ、大佐そのもののショーン・コネリー、くねくね演技のアンソニー・パーキンス、完璧な車掌だったジャン=ピエール・カッセル、そしてポワロの代名詞となったアルバート・フィニー

オールスターキャストによる推理物は「犬神家の一族」などへ引き継がれていく。

監督のシドニー・ルメットはこの頃が一番脂が乗っていたと思う。本作をはさんで、「セルピコ 」(1973)「狼たちの午後」 (1975)「ネットワーク」 (1976)などの秀作を立て続けに発表していた。
ただ、脚本が2作目以降の「猿の惑星」のポール・デーンだったり、音楽がこれっと言って印象的な作品のないリチャード・ロドニー・ベネットだったりしたが、まるで奇跡のようにいい仕事をしている。
(ポール・デーンは本作を最後に急逝。生きていればクリスティ物の傑作を残しただろうと言われていた)

アガサ・クリスティは本作の出来に満足し、さらに3本の映画化権を許可。製作のジョン・ブラボーン卿は以降はクリスティ物を手がけていく。

豪華なセットと見ごたえのある演技。最後の謎解きとカーテンコールとなる乾杯のシーンまで存分に楽しむことができました。

再現シーンがちゃーんと出てきて安心。でもワイプを使うなどちょっと泥臭く、その意味では「ナイル殺人事件」(ジョン・ギラーミン)の方がスマートな印象があります。