グレートスタントマン(1978)/★★★☆

fwakame2007-07-24

最後のスタントシーンが大迫力
グレート・スタントマン [DVD]
ワーナーのロゴが"こぶしマーク"だったので嬉しくなりました。60〜70年代のロゴだそうで、骨っぽい作品をリリースしていた時代のいわば"男映画の勲章"です。


スタント界ではNo.1の実力を誇るバート・レイノルズ。今日も危険なスタントをこなし、同棲中のサリー・フィールドの待つ家に帰る。その他にもチャリティショーに出演したり、仲間と繰り出した酒場で派手な喧嘩をしたりと人生を楽しむ毎日。
しかし、すでに中年にさしかかるレイノルズの体はボロボロで、スタントを続けることは困難な状況だった。
新人スタントマンのジャン=マイケル・ヴィンセントも現れ、世代交代を決意したレイノルズは最後のスタント「ロケットカーによる105メートルの大ジャンプ」に挑むのだった。


バート・レイノルズサリー・フィールド共演、ハル・ニーダム監督と「トランザム7000」トリオの作品で、レイノルズは盛りの過ぎたスタントマンという役どころが見もの。
その過去の栄光として見てたのが「脱出」。見ていた新人が「あんたはホント色んなことをやって来たんだね」とつぶやくのが妙に可笑しいです。
また、スタントシーンも007風の音楽とそれらしきスタントが中心なので、たぶんこの我儘監督はガイ・ハミルトンルイス・ギルバートあたりがモデルではないでしょうか(笑)


個人的に気に入ったのは、大ジャンプをいったんは決意したものの、危険が多すぎるとして友人や恋人の引止めもあって、降板を申し出るんですね。
監督は「やるって言ったじゃないか」と烈火のごとく怒り出します。冷静なプロデューサー「どんなに素晴らしい映画でも命までかける必要はない」と監督を諌めます。
でも、思い込んだら止まらない監督は会社に圧力をかけ、プロデューサー自らレイノルズを説得するように仕向けます。
「これが出来なかったら私のキャリアも終わりだ」と頼み込むプロデューサー。レイノルズは「やろう」とだけ答えます。恋人の「私とは別れるのね」の言葉になにも言わずに出て行くレイノルズ。男です。本物です。こぶしマークは伊達ではありません。


最後のスタントシーンは今見てもずいぶんと迫力があります。そもそも大地震で崩れかける街の中をスポーツカーに乗って疾走するスパイ映画ってなに?とは思いますが、これでもかと続くスタントシーンは手に汗握ります。
撮影シーンという設定なので、クラッシュする車の前にカメラマンやらスタッフやらがいて、ヒヤヒヤもの。建物は崩れる、あちこちで爆発は起きる、転倒したバイクに後ろのバイクは突っ込む、店に車は飛び込むと、もうやりたい放題。倒れる煙突の下を走り抜けるシーンは、本当にギリギリのタイミングでした。CGがない時代の命をかけた本物のスタントです。


そしてクライマックスの大ジャンプ。渡ろうとした橋が落ちたので、ロケットを噴射しながら車が飛ぶんですが、直前で停止してしまいます。
「(ガスの)圧力が落ちたら飛ぶことはできない」と新人が言います。ヘリから見ていた監督はもうカンカン。トランシーバーで「何してるんだ!早く飛べ!」
そのスイッチを切って、レイノルズが「一度きりしかないんだ。死んでも飛ぼう」と顔を見合わせます。


エンドクレジットでは、NGシーンも交えたスタントシーンが再登場します。スタントマン映画のスタントマン。実はこの映画の存在自体がドラマであったことに気づかされました。