冒険者たち(1967)/★★★★★

その名は「レティシア
冒険者たち 40周年アニヴァーサリーエディション・プレミアム [DVD]
初めてみたのですが、見始めてすぐにこれは「自分たちの時代の映画だ」と思いました。"既視感"といえばいいのでしょうか?それだけでも評価が2割増、3割増になっていることをご了承ください。
ただし、世代的には1つか2つ上の映画って感じはしますが。


市内を低空飛行で飛んで免許を取り上げられたマヌー(アラン・ドロン)、未来のエンジンを開発するのが夢の老技師ローランド(リノ・ヴァンチュラ)はまるで兄弟のように仲がいい。そこにふらっと現れたのが、前衛芸術家レティシア(ジョアンナ・シムカス)。
3人はそれぞれの夢を追うがやがて破綻し、やがてコンゴの海に眠る財宝探しの旅に出る。そして財宝を場所を知っているという男が現れるが、やがて事態は意外な方向に展開していく。


前半は男2人と女1人の青春物。後半は美しいコンゴの海を背景にした財宝探し物。ところがその後荒涼とした土地を放浪する男たちの物語になり、最後は銃撃戦になっていくのでびっくりしました。こうやって物語がどんどん転がっていくのは原作付き映画の特徴だと思います。
その中でもやはりマヌーとローランドの黙っていても通じる関係がかっこいい。特に遺産を渡しに来た家で一旦は帰ろうとするのに、少年の姿を見た途端に2人とも踵を返す場面には痺れました。この2人がどうやって知り合ったとか、何をしてきたかというのは一切描かれないのですが、カジノで有り金をすっかりすって、レティシアを忘れて帰ってしまうエピソードなどにこの2人の繋がりの深さを感じました。


■その名は「レティシア

廃車置場にやってきて、そのままローランドの仕事場に居ついてしまう自由な女性「レティシア」。その美しさもそうですが、奔放でありながら繊細な感じがどこか妖精のような感じをうけます。特にコンゴに行く直前に3人で踊る場面とコンゴの海で3人で楽しく暮らす姿が印象に残りました。(ここはまるでPVのように撮られています)
さらに、不思議なことに"性的な匂い"を自分では出さないんですね。でもドロンに「2人で暮らさないか?」と口説かれるところはで、突然"色気が漂い出す"。そこがとても不思議でした。「永遠の憧れ」ってこうゆう人を言うのだと思います。
ところでレティシアはなぜ、マヌーではなくローランドを選んだのか。ローランドに近い年齢の私からすると嬉しいことは嬉しいのですが、A.ドロンのどこが不満なのか?やはり釈然としません
まあ「ファザコン」だったからと無理やり自分に言い聞かせていますが、このあたりの機微は女性でないと判らないのかもしれません。
またフランソワ・ド・ルーペの「レティシアのテーマ」も哀愁をかきたてます。

■アニヴァーサリーエディション

冒険者たち 40周年アニヴァーサリーエディション・プレミアム」というのが出るそうです。その説明の中で「HDリマスター」と「野沢那智の吹替」という単語に激しく反応してしまいました。
■アミューズのページ
その中の野沢那智さんのコメント。

冒険者たち』で声を演じてから、既にかなりの年月を経ていますが、前半は前向きで若々しく、後半では失ったものの大きさを背負った暗さを出すことに腐心して演じたことが思い出されます。
「友情を守り通す」、「信義を尊ぶ」といった、どこか東洋的、日本人的な感覚が、今もって日本人に愛され続けている要因ではないでしょうか。
アラン・ドロンの映画は、これまで39本演じてきましたが、その中でも、この作品が私自身にとって特に印象に残っているのも、そのためではないかと思います。(談)

野沢那智さん(俳優・演出家)

うーん欲しい。と思ったら。
■映画番長の銀幕旅行
こちらでも紹介されてました。極上盤だとか。
ますます欲しくなりました。

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参考
■冒険者たち
ど真ん中世代?の方の解説がありました。熱いです。

■『冒険者たち』 メルヘンからどん底 - 毎日たらたらタランティーノ
こちらも解説

■フランソワ・ド・ルーベの素晴らしき冒険
ド・ルーベに関する解説

■フランソワ・ド・ルーベについて私が知っているニ、三の事柄
写真がいっぱい載っています