男と女/★★★★★

荒削りなのに目が離せない。狂ったルルーシュの奇跡を見よ!
男と女 特別版 [DVD]
ずいぶん昔にTVで見た記憶はあるのですが、きちんと見たのはこれが初めてかもしれません。


ストーリーは至ってシンプル。子連れバツイチ同士が寄宿学校の面会帰りにたまたま車で送ってもらい、それがきっかけでお互いにだんだん惹かれていく。
車の中での会話も長いし、お互いの過去のシーン(特に女性側)も長い。ドキュメンタリー風なので、子供たちとの昼食シーンなどはかなり退屈。映画としては無駄なカットも多いし、ずいぶん荒削りだなぁと思うわけです。でもなぜか目が離せない


この映画の魅力は、アヌーク・エーメの美しさ、ジャン=ルイ・トランティニャンの男の色気、フランシス・レイの音楽、クロード・ルルーシュキャメラでしょうか。
本作は破産寸前だったルルーシュ監督がストレス解消にとドービルへドライブに出かけ、そのまま海岸で一夜を過ごしてしまった朝、女性と子供が散歩している姿を見かけたところから、この話を思いついたとか。


この映画のレースシーンは物凄い迫力で、実際のところ恋愛映画の域を軽く超えていると思います。
それもそのはずで、車のCMで大きな賞をとり、自身も無類の車好きの監督はジャン=ルイ・トランティニャンとともにモンテカルロ・ラリーに実際に参加して撮影を行ったそうです。俳優にラリーをやらせるなんて狂ってるとしか思えません。
実際、DVD特典のメイキングにはサーキット場で撮影しているルルーシュの姿を見ることが出来ますが、トランクやらボンネットやらに自分の体を固定し、レースカーと併走しながら撮影する姿はホントに狂ってました(笑)


普遍的な話なのに60年代の空気感がむんむんと漂っています。私は残念ながらリアルタイムに見ることはかないませんでしたが、この時代に青春を迎えた人たちの魂を鷲掴みにしたのは容易に想像できます。この時代のフランス映画は何者にも代えがたい魅力があると思います。

    • -

参考
■男と女
すばらしい解説がありました。