記憶の棘/★★★☆

暗い雰囲気で進行する暗い話。アン・ヘッシュから目が離せない。
記憶の棘 オリジナル・バージョン [DVD]
スリラーかと思ったら、暗いラブ・ロマンスでした。全体的に光が足りないのか、ざらついた画面でドラマも妙に冷たい・・・


10年前に夫を亡くし、新たな恋人を見つけたアナ(ニコール・キッドマン)。婚約直前の母の誕生日に「僕が夫(ショーン)の生まれ変わりだ」と少年が現れる。多くを語らないが、たしかにショーンしか知らない事を知りすぎる。やがてアナは少年が本当に生まれ変わりであって欲しいと願い始める。


基本的にはニコール・キッドマンを見る映画だと思うのですが、髪をショートにした二コールはやっぱり綺麗。途中で少年に心を奪われる場面があるのですが、カメラがすーと二コールのアップを映し出すます。それがもう長い長い。これだけのアップに耐えられる女優ってそうはいないと思います。


もっと少年とアナの話に絞るのかと思ったら、新しい恋人(ダニー・ヒューストン)、妊娠中の姉(アリソン・エリオット)、その夫(アーリス・ハワード)、母親(ローレン・バコール)、お手伝いさん、少年の両親まで登場し、その中でアナの気持ちが描かれるので、とても女性の視点で描かれていると思います。私はいつ2人が出奔するのかと見ていてイライラしましたもん。


私が特に心を引かれたのは親友の妻であるアン・ヘッシュ。最初にも登場してくるのですが、ハイライトは二コールが少年に心を奪われたことを告白する場面。そのリアクションショットが素晴らしいのなんの。わずか数秒のカットなのに目が離せません。
めちゃめちゃ上手いね。この人。


全編陰気な進み方で、オチも男の私には納得しかねるし、ラストのシーンは唐突すぎると思うのですが、主役に負けない強烈な印象を残したアン・ヘッシュの作品として私は記憶したいと思います。