ニノチカ/★★★

素朴だけどキュートな話でした。
ニノチカ [DVD] FRT-147
公開時は「ガルボ笑う!」がキャッチコピー。
本作はグレタ・ガルボエルンスト・ルビッチ監督によるロマンチック・コメディの傑作として紹介されることが多いようです。


本作でのガルボはロシアから来たコチコチの共産主義者ということで、もっとギスギス・キンキン女かと思っていたのですが、どちらかと言うと無口で無愛想、そして融通が利かないといったキャラクタでした。


ソ連が没収した伯爵夫人の宝石を売却するためにきた3人の役人だが、
伯爵夫人の代理人(兼愛人)のレオン(メルビン・ダグラス)に懐柔されてしまう。
そこであたらに特命大使としてニノチカ(グレタ・ガルボ)が派遣される。
やり手でカチカチの共産主義者ニノチカとレオンは、敵同士であることを知らずに知り合い、惹かれあってしまう。
互いの立場が分かってもレオンは猛アタック!。とうとうニノチカを振り向かせることに成功する。
ブルジョア国の贅沢さを満喫する2人。しかし伯爵夫人の策略により・・・


最初のニノチカはやたらと数字にこだわりますです。
いきなりそばにいた見知らぬ男(これが敵であるレオン)に「この信号は何分待つの?」と聞き始め、「エッフェル塔はどこ?」などタカビー女。
レオンが「エッフェル塔(なんか)に登るのは失望して上から飛び降りる時」と言うとニノチカが「着地までの時間は」と聞き返すあたりは抱腹絶倒。洒落てますよね会話が。
ニノチカに付きまとうレオンは食堂でも何とかして笑わせようと冗談を言いますが、全く通じません。
でも、あることからニノチカから笑顔を引き出すことに成功します。(何かは見てのお楽しみ)
国家の敵を愛してしまったニノチカ。でも自分の気持ちを隠すことはできません。悩みます。


軽いロマンティックコメディだと思っていたのですが、後半のニノチカの落ち込んだ姿には思わず胸が詰りました。
ソ連社会の風刺と共に描かれる失意のニノチカの姿には、自分の力ではどうにもならない社会の仕組みが、2人の距離を感じさせます。
この辺りが、第2次世界大戦中に作られた事も合わせて"時代"を感じました。
また、ニノチカの気持ちを表す道具として"帽子"がうまく使われていました。


グレタ・ガルボの映画は初めてみましたが、絶世の美人という感じではありませんでした。
思ったより顔が角ばっていて、まあ普通の女優さんという感じでしたが、その分、この作品には合っていたと思います。


最後の意外なオチ(何となく読めましたが)も含めて、思わずこの2人を応援したくなるような作品でした。

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なお、キープ版で観賞しましたが、画質は問題なく楽しく観ることができました。