ブロークバック・マウンテン/★★★★

これは切ない話でした
ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD]
長いなぁと思ったら、20年ぐらいの物語だったんですね。ちょっとした大河ドラマ並みの長さでした。

最初は、羊飼いの様子が丹念に描かれていて、なかなか興味深く観ていたのですが、ある夜を境に男同士の秘密の物語になっていき、ひたすら息苦しく展開していきます。

時間の経過を子供の成長で実感するのは実生活でも良くあること。20年たっても全く変わらない自然の景観(=二人の想い)とよく対比されていたと思います。また車がそれぞれのキャラクタを現す道具として使われていました。


本筋に絡まないのにとても印象に残ったシーンが2つあります。
1つは「牧場へ来いと呼ばれた」といって子供を無理やり妻に預けて出かけるシーン。もう1つは花火大会で喧嘩になるシーンです。

どちらもジャックとの関係には何ら絡まない場面なのですが、公式サイトを見ていて、ふと「牧場に呼ばれた」というのはウソで、実はジャックに会いに行ったのではないかという気がしてきました。さらに妻のアルマが2人の関係を知っていたことを考え合わせると、アルマもそれに気がついて、激しく拒絶したのではないでしょうか?。
またイニスが喧嘩っ早いのはゲイであることを隠すために、わざと男らしく振舞っていたということらしいです。さすがにこれはちょっと分からない。でも花火をバックにいい絵でした。

また、映画では分かりづらかったのですが、イニスに再婚相手が現れて娘に紹介した際に「父は複雑な人よ」と言っているのは、彼女も父の本当の姿を知っていたからだそうです。

そう考えると、イニスはこの"秘密"のために仕事を失い、家族を失い、最後は何もかも失ってジャックを愛し続けた訳で、本当に切ない話ですね。


主演の2人(ヒース・レジャージェイク・ギレンホール)は素晴らしい演技でしたが、さらに妻のイルマ(ミシェル・ウィリアムズ)はさらに上を行く入魂の演技だったと思います。
レイチェル・ワイズは嫌いではありませんがアカデミー助演女優賞はこちらの方が相応しいと思います。



ただ「真夜中のカーボーイ」や「スケアクロウ」と根本的に違うのは、同性と一緒に遊ぶ気楽さや楽しさ、一体感があまり描かれておらず、"一夜の気の迷い"みたいな所から始まってしまう点で、その辺りが「男同士の友情」映画と「男同士の愛情」映画の最大の違いかもしれません。


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■公式サイト
Brokeback Mountain___ブロークバック・マウンテン