おさるのジョージ/★★★☆

原作を離れて見れば、上質なアニメ
おさるのジョージ [DVD]
「ひとまねこざる」で有名なH.A.レイによる絵本の映画化。
これほど有名な原作なのに、この映画はなぜかあまり話題になっていないようで、昨年の夏にひっそりと公開されていたらしい。


とても期待して観たのだが、なんと原色の嵐でちょっと目が痛くなった(息子たちは全然平気)。また、博物館が運営できなくて駐車場にするとか、ジャングルから携帯で電話するとか、かなり現代風にアレンジされており、絵本に親しんだ世代にとってはかなり違和感のある展開だった。
さらに、本作では"きいろいぼうしのおじさん"が中心で、引っ込み思案な青年が好奇心旺盛な"おさる"に出会って成長するという物語になっている。(もちろん青年に思いを寄せる美女もいる)
絵本では"ひとまねこざる"が好奇心から色々な騒動を起こすが、それによって人々が小さなことに気がついてちょっとぴり幸せになるという話だったはず。ひどいなぁ。


色々と文句を言ったが、原作を離れてアニメとしてみるとかなり上質の部類に入る。3Dアニメ全盛の時代にあって、2Dのきめ細かさと(かなりCGを使っていると思うが)滑らかな動きは必見。また、絵本の場面を再現する設定もニヤリとさせられる。
さらに、ジャック・ジョンソンの歌が随所に織り込まれて素朴さを醸し出し、まるで往年のディズニー映画のようだ。


これは、純粋にアニメ映画として家族で楽しむには申し分のない作品だと思う。


ちなみに、エンディングタイトルでは、原作の挿絵がそのまんま動いていて、これで本編も作ってもらったらと、絵本世代の私は残念に思ってしまった。

原作について
原作の『ひとまねこざる』(Curious George)シリーズは、1941〜1966年にかけて7作発表された大人気絵本。
ただ、日本版ではタイトルがややこしくて2作目が『ひとまねこざる』だが、1作目は『ひとまねこざるときいろいぼうし』とタイトルの付け方がおかしい。(日本で紹介されたのも逆なのかな?)
早速と息子と一緒に図書館で借りてみたが、確かに1作目のジャングルから連れてこられる話は記憶になく、2作目の動物園から逃げ出す話しか見覚えがなかった。
実際、この1作目は結構ひどくて、「きいろいぼうしのおじさん」はジャングルに住むジョージに「ここよりもっといい所があるよ」と言ってジャングルから拉致してしまう。(さすがに映画ではジョージが好奇心から自分でついて来るように変えられている)
そのほか、渡航する船でジョージは溺れ死にしそうになるだの、動物園から逃げ出したジョージを警官が捕まえるだの、この悪意に満ちた天真爛漫さはなんだろう?と思ってしまった。


以下、Wikipedia - ひとまねこざるより転載

  1. 『ひとまねこざるときいろいぼうし』(Curious George、1941年)
  2. 『ひとまねこざる』(Curious George Takes a Job、1947年)
  3. 『じてんしゃにのるひとまねこざる』(Curious George Rides a Bike、1952年)
  4. 『ろけっとこざる』(Curious George Gets a Medal、1957年)
  5. 『たこをあげるひとまねこざる』(Curious George Flies a Kite、1958年)
  6. 『ひとまねこざるのABC』(Curious George Learns the Alphabet、1963年)
  7. 『ひとまねこざるびょういんへいく』(Curious George Goes to the Hospital 、1966年)