ナイロビの蜂/★★★★

レイフ・ファインズにしびれた
ナイロビの蜂 [DVD]
アフリカを舞台にした巨大製薬会社と英国の陰謀を追及する男のポリティカルサスペンス映画。
レイフ・ファインズが気弱な男を演じており、それが妻の死の原因を探っていくうちに、だんだん強くなっていく。その微妙な変化がうまく演じられていると思う。
スーツ姿からラフな格好にかわり、精神的にもタフになっていくのだが、それでも車に追いかけられて、結局追い詰められるなど突然強くなったりしないのがよろしい。また、それがこの映画の結末に説得力を与えている。

なお、本作でアカデミー助演女優賞を取ったレイチェル・ワイズだが、「うまい」というより「強い」と感じるほうが先で、なおさらレイフ・ファインズに目がいってしまった。ちなみに、あの妊婦姿は本物なのだそうだ。


しかし、本当に酷い話だ。
心に残るエピソードとして、病気に侵された16歳の妊婦が30キロの行程を一晩歩いて病院にたどり着く。結局、子供は産まれたが母親は死亡。その親(と弟)は産まれたばかりの子供を引き取って一晩がかりで歩いて帰っていく。着いた時に子供はどうなっているのか?
彼らを村まで送ろうと訴える妻に、夫は「助けたらきりがない。それより君を先に家に連れて行きたい」と彼らの横を通り過ぎる。
もう、やりきれなくて「それくらい送ってやれよ!」とつい声が出てしまった。


アフリカの民族音楽をベースにした音楽がよく、特にエンディングのコーラスが美しくも悲しい。
なかなかの秀作でした。