ミュンヘン/★★★★

映画を越えた作家性
ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

このDVDにはご丁寧なことに本編の前にスピルバーグからのコメントが収録されており、またもやハイライトシーンを先に見るはめになった。はて、同じような思いを他でもしたことがあるような・・・。

見終わった感想は「164分の超大作に私もよく付き合ったなぁ」と言うのが第一印象。全編にわたって緊張感があるので、だれることはなかったが、終盤の方はさすがに飽きた。
この映画のメッセージは「自分たちを阻むものには、自ら立ち向かわなければならない。ただし、そのことの良し悪しはよく考える必要がある」って、監督が最初に言ってました。>ダメじゃん。


メッセージ性はさておき、映画としてはこれほど多くの舞台(ロケ)をしながら、物語をきちんと伝える手腕はさすが。さらに1970年代という時代の空気感すら伝え、さらに何気ないショットでも凝ったものが多いことに気づいた。
「鏡(=ガラス」を使った表現が印象的で、これがこの映画のもう1つのテーマだろう。

また暗い場面が多い中で印象的なシーンを演出した「照明」「撮影」と映画の緊張感持続させたジョン・ウィリアムスのスコアが素晴らしい。


同時期に撮ったのが「宇宙戦争」というのもスピルバーグらしいが、実はどちらも「テロ」がテーマになっており、本作とは「裏表」の関係にある。その意味で、もはやこの人は何を撮っても"時代"を感じさせる映像作家になったと思うし、観客もそれを期待して(どんな映画だろうと)「スピルバーグ監督作品」を観にいくのだろうと思った。


(余談1)
この映画の主人公と「パパ」と称する人物は料理好きで、前回見た「ブレーキング・ニュース」でもやはり主人公が料理好きだった。また「SPL」でも食事中に自分の病気を告白する。どうも、このところ印象的な食事のシーンが多い。

(余談2)
この映画の「パパ」はフランス人。「フレンチコネクション」のフランス人を連想させる。