ロード・オブ・ウォー/★★★★
武器商人(=戦争)を"虚構"の世界に持っていったセンスが凄い
観ていて感じたのは「すごいなこの映画」ということ。
"武器商人"というものを扱いながら、そのビジネスぶりをコミカルに描くことにより、「銃(または武器)」というものにとり憑かれた人たちを描く。
この題材が映画になると考えたのは「ガタカ」「トゥルーマン・ショー」といった"虚構"の名手アンドリュー・ニコル監督。全体的に作り物めいているのはそのスタイルから来ているが、武器商人(=戦争)を"虚構"の世界に持っていったセンスが凄いと思う。
人物もどこか作り物めいて、主人公の無機質ぶりの対比として、抑制の効かない弟(ジャレッド・レトー)、悪への対比としてインターポールの捜査官(イーサン・ホーク)、良心の対比として妻(ブリジット・モイナハン)が配してある反面、ライバルとなる同業者、武器を横流しする軍人の叔父、戦争を始める大統領(とその息子)など計算された配置にかなり恣意的なものを感じた。
その意味では、間違いなくこれまでの一連の流れにある「アンドリュー・ニコル印」作品であると思う。