殺人の追憶/★★★★★

ラストのアップが余韻を残す。韓国映画の実力。
殺人の追憶 [DVD]
猟奇さは「セブン」や「羊たちの沈黙」の流れを汲んでいるが、灯火管制やデモ隊といった時代を織り込み1988〜1991の韓国の片田舎という設定とそれを体現するセットや風景、衣装、小道具などそのすべてがこの物語を構成している。そんな印象を受けた。

猟奇な犯罪であるにもかかわらず、死体が田園に無造作に捨てられていおり、しかも死体の周りに子供たちが遊んでいるのがすごくアジア的に感じた。(「マルサの女2」もこんな出だしだったと思う)怖さで言ったらこちらの方がよほど怖いだろう。

また、全編にみなぎるこの緊張感も凄い。だからといって「セブン」のように悲壮感だけでない片田舎ののどかさやユーモアも感じさせ、動と静の対比が見事だ。これは、クライマックスの容疑者と刑事のにらみ合いの構図でも繰り返される。

野放図でアホだが職務に忠実な刑事にソン・ガンホ。ソウルから来た切れ者キム・サンギョン。そしてもっとも有力な容疑者として現れるパク・ヘイル。この3人がとにかく凄い。このほかにすぐに手を出す部下、いつも怒っているデカ長、ソン・ガンホを支える恋人?などが絡みドラマに厚みを加えている。

全編に渡って顔のアップが出てくるが、特に最後のアップはどのような意味があったのか?観た後に余韻を残す。

なお、韓国映画なのに音楽は岩代太郎。しかも絶妙のスコアとくれば、ちと悔しい気もする。


ps.
amazonを見たら特典いっぱいの廉価版で出ていたのね。思わず買ってしまいますた。