ラストコンサート/★★★★

ありがとう。
ラストコンサート [DVD]
うらぶれて毎日を怠惰に過ごす中年作曲家リチャード(リチャード・ジョンソン)がたまたま立ち寄った病院で告げられたのは余命あと3ヶ月の白血病と宣告された少女ステラ(パメラ・ヴィロレッジ)の診断だった。なんとステラはその後待っていたリチャードを父親だと告げて病院を出てしまったのだ。バス停で待つリチャードに話しかけ、バスで一緒になったステラはそのまま付きまとう。
面倒ごとの嫌いなリチャードは何とか離れようとするが、どこか憎めないステラについ、幼い頃別れたステラの父親と出会うまで一緒に付き合うことを約束する。
(以下ネタバレ&長文です)

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父親の住所は大きな城だったが、中は引っ越した後のようだった。ガッカリするステラにリチャードは自作のピアノ曲を弾いて聞かせる。美しい旋律に心を奪われるステラ。
不審がって入ってきた庭師から父親はパリにいることを知る。ステラとリチャードはパリへ。ところが父親に会う前の夕食で喧嘩になってしまい、ステラは一人で父親に会いに行く事に。
父親の家の庭からそっと覗くステラが見たのは、小さな男の子と幸せそうに抱き合う父親の姿だった。自分とは別の家族を持っていたことにガッカリしながら庭を出るステラ。しかしそこで待っていたのはステラを心配したリチャードだった。スキと言いながらリチャードに当たるステラ。2人は一緒に暮らすことを決めたのだった。
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リチャードの作曲家としての再起を願うステラ。しかしリチャードになかなかチャンスがめぐってこない。あきらめてパリを離れる事を決心したリチャードにステラは激しくなじる。
「あなたって最低。どうしようもない臆病者よ。もう終わりだなんてはじめてもいないのに」
しかしリチャードはホームから動こうとしない。失意のステラがやっとアパートに帰ったとき、ピアノの旋律が聞こえた。部屋で待っていたリチャードは言う「結婚しよう」。
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リチャードの曲が完成した。題名は「ステラに捧げるコンチェルト」。パリでの公演も決まって幸福の絶頂に立つリチャード。しかしステラの病気は確実に進行していた。リチャードに内緒で一人部屋を去るステラ。家に帰ると荷物がなくっていることに気づくリチャード。そのまま街に探しに出るが見つからない。疲労困憊でアパートの入り口でたたずむリチャードの耳に電話の音が聞こえる。ステラは最初に出会った病院に入院していたのだ。
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あと数日あるいは数時間と聞いたリチャードはコンサートには代役を頼んでステラにそばにいることを決心する。しかしステラは言う。「私の夢をかなえて。お願い。(リチャードに贈られたウエディング)ドレスを出して わたしの夢をかなえて」「まともじゃない」「では私に次のチャンスはあるの?」「...ない」

コンサートの初日。ステラにとっては最後の日。化粧をし舞台の袖でリチャードの姿を見つめるステラ。病魔と闘い薄れる意識のなかで、ステラは亡くなってゆく。
やがて一人残ったリチャードは2人が出会ったモン・サン=ミシェルの海岸に立つのだった。

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長文をここまで読んでいただきありがとうございます。

この作品は私が始めて劇場で見た洋画でしかも私に映画の面白さに目を開いてくれた作品でもあります(これがつまらなかったら今の映画好きはなかったでしょう)
友人とその父親に連れて行ってもらいました(我が家には映画をみる習慣はありませんでした)映画館で見る映画は英語で、そのかわり字幕というものが付くことを初めて知りました。劇場も綺麗ではありませんでしたし、館内だけでなく入り口から薄暗くなっているのが怖かったです。
映画館ではパンフレットなるものを売っていることや、場面・場面をうつした写真(スチール)が飾ってあったり、次回作のチラシがタダでもらえる事も知りました。

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カサンドラ・クロス」と2本立てで、確かこの「ラストコンサート」は途中から見た気がします。厨房だった私には、この2人のロマンスは理解できませんでしたが、音楽がとてもよかったのは憶えています。その後、中古屋さん(リサイクルショップ)でたまたま見つけたLPを買いました(確か300円でした)。すごく嬉しくて、意味も分からずセリフを憶えるために、本当に擦り切れるほど聞いた思い出があります。

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ずっと観たかった映画です。1976年製作なのでちょうど30年前の作品ですが、ありがたいことにこうしてDVDで観ることが出来ました。いま観るとほとんど2人しか出てきませんね。爆発するわけでも、宇宙人が出てくるわけでも、血を流すわけでもないのに、どうしてこんなに惹かれるのでしょうか。
主演はパメラ・ヴィロレッジとリチャード・ジョンソン。ですが、もう一人の主役はステルヴィオ・チプリアーニの音楽です。
とはいっても実は3曲しかありません。「ラストコンサート(のテーマ)」「愛のテーマ」「ステラに捧げるコンチェルト」。特に「ラストコンサートのテーマ」はアレンジを変えて繰り返し流れます。一度聞くと忘れられない曲なので聞いたことがある人も多いと思います。

この作品では、ステラは自分の余命が短い事を知って、一生懸命誰かを愛そうとします。リチャードに出会って、友人になり、恋人になり、女になり、妻になります(そのようなセリフもあります)相手をさせられたリチャードはいい迷惑でしょうが、本気で誰かを愛したいステラの気持ちがリチャードの心を開かせます。またリチャードのへそ曲がりな感じもよく出ていて、最初の迷惑そうな様子は笑えます。

よく「難病物」と括られますが、ちゃーんと作れば十分感動することができます。とくに最初にいきなりステラの病名が出てくるところなんかよく出来ていると感心しました。
決してノスタルジーだけの映画ではないと思います。

なお、DVDの画質はとてもよく、細かい傷などは取り除かれており上質です(特典の予告編を観ると傷のひどさがわかります)
また吹き替えがTV放送時のものと上野樹里が吹き替えたものが収録されています。上野版はパメラの声以前に上野樹里が目に浮かんでしまうのでちょっと困りました。正直合ってない気もしますが、好感は持てます。それよりTV放送版は全然セリフが違うのでビックリしました。いったい何を訳したのでしょうか?
全体的にDVD製作者が本作を魅力を引き出そうとしてるのがわかります。

最後に関連するリンクを挙げておきます。

■ラストコンサート
掲示板でのやりとりでしょうか?とても詳しく解説されています。

■ラストコンサート : HERALD ONLINE
DVD情報があります。

■アミューズソフトエンタテインメント
DVD情報はこちらが詳しいようです