怪盗グルーのミニオン危機一発(2013)/★★★★
劇場は「おしり」の大合唱
前作は、劇場ではヒットしませんでしたが、DVDで良さが知られ今回は大ヒット。
1より2が興行成績が上がる珍しい例となっています。
製作はイルミネーション・エンターテインメント。
これまでも「ロラックスおじさんの秘密の種」などを出し、飛び出す型3Dアニメを得意としています。
今回も予告の段階から飛び出す感満載で、これは劇場で観ねばと思い、家族勢揃い駆けつけました。
子供向け(それも小学生低学年くらいまでの)映画なので、飛び出す3Dを見にいくと割り切って行きましたが、観ている間は夢中になって観てしまいました。
ラストの「おしり」を連呼する歌が流れると劇場では「おしり」の大合唱。これは楽しい思い出です。
007オマージュなど大人をクスリと笑わせるネタも随所には入っています。
あと中島美嘉の吹替えが意外と合っていて驚きました。
LOOPER/ルーパー(2012)/★★★☆
その設定が飲み込みずらい
「未来は殺人が許されないので過去に送り込んで殺す」という物語の一番最初(かつ根本)の設定がどうにも引っかかって楽しめませんでした。
畑に敷かれたシートの上に突然現れた男を殺すというビジュアルはヨカッタだけに、もう少し納得できる説明が欲しかった。
ただ、これだけ複雑な筋なのに、観る側になんとなく理解させる手腕は凄いと思います。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットのにやけた顔はどこか「タクシードライバー」のトラビスに通じるものがあってすごく良かった。堺 雅人と合わせて二大「にやけ俳優」として憶えておきます。
2044年と言う設定が絶妙でほぼ現代と同じだけれど、どこか違う感じが出ています。
伏 鉄砲娘の捕物帳(2012)/★★★★☆
大島ミチル節が炸裂!
人と犬から生まれた「伏」。8人の伏が江戸に現れて人の生魂を食らい始めた。
高額な懸賞金目当てに伏退治に名乗りを上げる浪人たち。
兄に呼ばれ山を降りた鉄砲漁師の「浜路」。やがて兄と妹の伏退治が始まる。
こう聞けば思い出すのが「ブレードランナー」。実際、踊り子を追い詰める場面によく似たシーンもあってかなり意識している様子で、時代劇版ブレードランナーと言ったところか。
時代劇かと思いきや、浜路はへそ出しシャツに短パン。銃は連発のガトリングタイプでしゃべりは現代風そのもの。と、かなり架空の時代に近く、何でもアリではあるが、時代劇の雰囲気は十分感じられる。
その理由は、江戸の風俗を表す美術であったり、カラフルな色であったり。人の姿であったりと浮世絵で見たあの雰囲気がそのまま動いている"さま"に感動。
吉原での場面が長いのだが、本物の吉原もかくやと思わせられてとても感心した。
主人公は鉄砲娘"浜路"と最後の伏"信乃"なのだが、それ以外にも登場人物が多く、魅力的なキャラクタがたくさん出てくるのもいいところ。私は花魁の"凍鶴"に泣けた。
ただ、残念ながら物語が広がりすぎて、まとまっていない感じがするのが問題で、いっそのこと里見八犬伝の下りはばっさり切り捨てて、この時代には「伏」がいた程度の説明でも十分楽しめたと思う。それでは原作からかけ離れ過ぎてしまうのかもしれないが。
"浜路"と"信乃"の2ショットももっと見たいし、クライマックスで全く絡まないのが残念を通り越して不満ですらある。伏もすでに6人殺されている段階から始まるので、2クールぐらいあったアニメのダイジェストを見せられている気分になる。
「捕物帳」と言うからにはもっと捕物をして欲しい。
さらに、序盤でいきなり伏と仲良くなっているので、"浜路"が"信乃"を狩る話ではなく、"浜路"と"信乃"が協力して別の妖怪を狩るのだとばかり思っていた。(その分別のキャラクタのエピソードが入ってくるのだが)
もう1つ特徴的なのが「大島ミチル」の音楽。
劇伴というにはかなり前に出ている印象で、終盤はずっと鳴りっぱなしで耳障りと感じも人もいるのではないか?
オープニングのオルガンを使ったパリ風の曲からクライマックスの骨太の音楽。大島ミチル節がたっぷり聴けるのがうれしい。
誰かがあなたを愛してる(1987)/★★★★★
これは意外な拾いもの
NHKBSで。
チョウ・ユンファ主演のラブストーリー物。
香港映画ながらニューヨークが舞台で、好きな相手を慕って渡米した主人公ジェニファー(チェリー・チャン)の面倒をみるのが現地で生活していた遠縁のサンパン(チョウ・ユンファ)。
しかし、ジェニファーが慕っていた相手にはすでに恋人がいて、失意の中でサンパンと触れ合ううちに・・・というお話。
かなりベタだけど、ベタにはベタのよさがある。
ほとんどがニューヨークロケで80年代のNYの雰囲気が味わえるのもよろしい(行ったことないけど)
原題は「秋天的童話」。この題名がラストの展開に結びつく上手さ。
ラストのわずか30秒のシーンで大泣きしちゃいましたよ。
いい映画に特別な物はいらない。丁寧に丁寧に主人公たちの心情たちに寄り添ってあげて、ほんのちょっとした仕掛けさえあればこれだけ感動することができる。そんないいお手本だと思います。
NHKさん、いいシャシンみせてもらったよ。