ソイレント・グリーン(1973)/★★★★

ソイレントグリーンは○○だ!
ソイレント・グリーン 特別版 [DVD]
スカパー無料視聴週間で放送。ありがとうIMAGICA!。
70年代ディストピア物の傑作で、昔見たきりなのでずっと観たかったんです。


改めてみると、テンポは悪いし作りは雑だしと70年製B級SF感たっぷりですが、やっぱり好き。
ネットでの評判をみると「食糧不足を解消するのにその食料を生産するというのは破たんしている」とか「ソイレント・グリーンがとても食い物に見えない」などの論理的に破綻している面を指摘する声もありますが、本作の本当の恐さは「人間が人間を物として扱う未来」にあると思います。


書籍が貴重品になった未来では、物事を調べる人間を「ブック(=本)」と呼び、刑事のサポートをする役目として扱われる。(捜査が進まないと「ブックを変えたらどうだ」と上司に勧められる)。
また、老いて死を望む老人には「ホーム(=家)」が待っている。そこから帰ってきたものは誰もいない安楽所として機能しているのだ。
そして、極め付けは高級アパートに(備え付け!)の「ファニチャー(=家具)」と呼ばれる家政婦兼夜の相手をする若い女性。
実際女の子に向かって「ファニチャー」と呼ぶ姿は結構衝撃的だ。


その他に忘れられないシーンが数多くある。

金持ちの被害者宅から勝手に持ち出してきた食料を食べるシーン。
サラダは新人類にはお気に召さなかったようだが、牛肉の煮込み?やらリンゴやらを実にうまそうに食べる。(リンゴなんて芯までチューチューして食べてるし)


被害者宅で刑事(チャールトン・ヘストン)が"ファニチャー"に誘惑される時のセリフは「シャワーを浴びない?」だった。
断って帰ろうとするヘストンに一言「お湯が出るのよ」。「なにっ!。ここはあたかいお湯が出るのか?!お湯なんてももう何年も・・・」と胸元をなでる様子にとどめの一撃「私が洗ってあげるわ」。
メロメロの場面には大爆笑。


そのほかに暴動を鎮圧するのに人間をショベルカーですくいあげちゃう乱暴さも印象に残る(パッケージにも描かれている)けれど、なんと言っても忘れられないのは、安楽所での最後の様子。
死を覚悟したブック(エドワード・G・ロビンソン)が最後に観るのは、画面いっぱいに映し出される自然の風景。「美しい」と言葉を残し、ソイレントグリーンの秘密を明かしてこと切れる。
涙なくては見られない名場面だと思う。


なお、本作はニコ動で無料で視聴できるので、興味が湧いた方はぜひ。


■映画偏り放題: 映画『ソイレント・グリーン』・・・未来の加工食品がとんでもないことになっています
http://oreno-yakata.blogspot.jp/2008/07/blog-post_23.html
詳しい解説が。


■食べたくなる映画ベスト17
http://kabekazi007.blog.so-net.ne.jp/2009-12-24
ココでは第2位にエントリされてます