ダークナイト ライジング(2012)/★★★★☆
入場料以上の満足感はあるけど、作品としてはどうかな?
ネタバレ全開!ご注意を。
前作『ダークナイト』が大好きで非常に楽しみにしていました。今回は川崎で初(!)IMAXにて鑑賞。
平日の夕方でしたが、それでも半分以上は入っていたと思います。みんな好きねぇ。
結論から言うと料金分は十分楽しませてもらったものの、映画としては前作よりは数段落ちると感じました。
退屈するヒマもないほど次々と起きる出来事に目は釘づけだし、スペクタクルとしては前作を大きく上回るスケールなので、夏の大作映画としては申し分ないのですが、細かい部分ではわからないことだらけで、あまりにも飲み込みずらい設定&出来事が多すぎます。
さらに、お話自体が『ダークナイト』の続編というより『バットマン ビギンズ』の完結編のような位置づけだったのも残念でした。(『バットマン ビギンズ』はDVDで観で見たとき、あまりのバカバカしさに途中で見るのをやめてしまいました)
観ていてアガったところ
- 飛行機 on 飛行機アクション(IMAXを堪能できる)でも007でこんなアクションあったよね。
- 「バットポッド」(バイク)の活躍場面。(特にアン・ハサウェイが乗るとめちゃめちゃ萌え燃えます)
- キャット・ウーマン(もっと見たかった)スピン・オフ賛成派です
- クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン(レギュラー陣は今回も鉄板)
- キリアン・マーフィ(出てくるだけで緊張感があふれるのはさすが)
- 場面変換として挿入されるゴッサムシティの空撮
- ハンス・ジマーの燃えスコア
観ていてサガったところ
- 「ラーズ・アル・グール」という単語が出るたびにゲンナリ。(闇の軍団というのがそもそも古すぎる)
- "奈落"の全シーン。(場所はインドらしいけど、なんでわざわざそんなところに連れて行くのか)
- マリオン・コティヤール(関わり方があまりにも不自然過ぎ。落ちありきの存在って)
- 核融合装置(クリーンエネルギーが"核融合"というのはちょっと)
- バットウィング(バットマン装備としてもやりすぎ感があってあんまり好きじゃない)
- ベイン(今回の敵)(ジョーカー並とは言わないがもっと非情さが欲しい。トム・ハーディの問題ではなく演出の問題。ジョーカーの時の"手品"のようなドキッとする演出が欲しかった)
- 競技場&橋&街の爆破シーン(予告編以上のものがなく逆にガッカリ)そもそもこの爆破自体の意味が曖昧なのですが
- ハンス・ジマーの燃えないスコア(ずっと後ろで流れているのが興ざめ)
今回見ていて感じたのは、街を占拠してからの数ヶ月間の歳月も描かれる(季節が変わる程)という点です。(時制というかスパンというかすごく違和感を感じます。)
物語的にも"奈落"での出来事として並行に描かれるので、中盤以降がすごく間延びしたように感じられるのと物語の推進力が一気に落ちる感じがしました。
さらに"奈落"で"あるチャレンジ"をするのですが、ここの描き方もすごく下手。
2〜3回ぐらいチャレンジするのですが、背中直して、鍛えて、一度失敗して、と妙に段取り臭くなるんですよね。
観ていて、あれっ?ノーランってこんなに下手だっけ?と驚いてしまいました。
(そもそも奈落のシーン自体不要と思っているので余計長く感じるわけですが)
ただ、『ダークナイト』『インセプション』と経てきて明らかにノーラン的ルック(というかノーラン色)は確立されてきました。どこを切り取ってもノーラン的風景が立ち上ってきます。(それ以前にどこかで見たような場面やアクションが多いこともありますが)。
その作品の出来不出来にかかわらず、クリストファー・ノーランという監督は劇場に足を運ばせる魅力がある監督の一人であることは間違いないと思います。
今回IMAX初体験でしたが本作に限って言えば十分価値のあるものでした。特に街の空撮や遠景などリアルさが際立っています。
ただ、前売り券を買っていたにも関わらず正規料金(2,000円)との差額(700円)を支払うので、前売り券を買った意味がないです。
おのずと観る作品が限られる(外すとイタイので)のと家族揃って観るには敷居が高いかなと思います。