ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011)/★★★★★

2011年アクションとしてはベスト級
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監督があの"ブラッド・バード"ですよ。
アニメ監督がこんな超大作を監督出来るってすごくない?アニメと実写って似て非なるものだと思うんだけど。
実写の監督がCGアニメに参入するのは、昨年だけでも「タンタン」や「ランゴ」などいくつもあるし、これからも増えると思うけど、アニメ監督が実写をする例はほとんど聞かない。
もっと凄いのはこれを任せたトム・クルーズの目の確かさ。
たしかにブラッド・バードは「Mr.インクレディブル」で007よりも007らしいスパイ映画を作り上げているので最初この話を聞いた時は「ナイス!トム」とは思ったけど。


で、出来あがった映画がミッション:インポッシブル史上最高の出来(興行成績も最高)で、これまた驚き。
ただし、J・J・エイブラムスも製作として名を連ねているので、スタッフにも恵まれていたと思う。


アクションも良かったが、それ以上に全編に漂うにユーモアがすごくいい。
クレムリンに忍び込んで緊張が最高潮に達した時、サイモン・ペッグが「奥さんは残念なことをした。一言言っておきたかったんだ」とKYぶりを発揮するところとか、ムンバイのサーバ室でさんざんな目にあったジェレミー・レナーが「この次は僕が金持ちを誘惑する」と叫ぶところなど、忘れられないセリフが随所に現れる。
トム・クルーズのアクションがおまぬけなのも秀逸だ。失敗に次ぐ失敗に逆に観客が感情移入しやすくなる効果も出ている。

さらに、作戦が始まる前にジェレミー・レナーが「作戦をまとめると・・・」と説明を繰り返す(これを2回もやる)。これはスパイ映画として観客に対してフェアであろうとする姿勢の現れのように思えて好感がもてた。

脚本はジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメックとなっているが、実際には多くの脚本家の手を経てきているだろうから、むしろ製作者であるトム・クルーズやJ・J・エイブラムスの考えが反映されているのではないか。


音楽はマイケル・ジアッキノ。「M:i:III 」も担当しているが「Mr.インクレディブル」以降のピクサー作品をほとんど手がけている点でむしろブラッド・バードの人選のように見える。シンプルなスコアで場面を盛り上げているのが見事。


132分と長尺でありながら全く飽きさせない工夫が随所に凝らされている。トム・クルーズ起死回生の一本。2011年アクションとしてはベスト級の傑作であった。


■『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』 | Incidents(偶景)
http://green.ap.teacup.com/nanbaincidents/1151.html
トム・クルーズの現在の環境が映画に反映されていると指摘されています。