ランゴ(2011)/★★★★

海賊映画監督の本気を見よ!
ランゴ おしゃべりカメレオンの不思議な冒険 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
声の主演であるジョニー・デップとCGのリアルさが売りの本作ですが、意外にも?真面目な西部劇でありました。
人間に飼われた動物が自然界に飛び出す話として、ネズミが主役の「マウス・タウン ロディとリタの大冒険」を思い出しますが、車から偶然に落ちる展開は「カーズ」の方が近いかもしれません。
(それ以前に街に風来坊がふらっと現れる話は西部劇では定番中の定番なのですから、むしろオーソドックスすぎるかもしれませんが)


ランゴが偶然からだんだんと調子に乗ってくる下りは退屈ですが、皆で水を探しに行く辺りから俄然面白くなり、お祈りの部分では思わず感動しました。
さらに幌馬車での逃避行で興奮が最高潮になり(あのオチはマッドマックス2ですね)、殺し屋ジェイクや西部の精霊(アノ人!)が出てくるに至って、これがアニメである事を忘れて普通の西部劇として楽しむ事が出来ました。


実写畑の監督がCGアニメを監督した例として「ハッピー・フィート」を思い出します。
あれもアニメにかこつけた「正統派ミュージカル」でした。
現代ではCGアニメの形を借りて本当に作りたいジャンル映画を撮る手法がトレンドなのかもしれません。
(CGアニメだと集約が見込めるので資金を集めやすくかつ、テーマの自由度が高いことに目を付けた監督が多いのかもしれません)
今回ゴア・ヴァービンスキーは製作、監督、原案と大活躍で「ヒットはしたが内容のない海賊映画を撮っている監督」の汚名返上を果たしていると思います。


CGのクオリティが半端なく高く、砂漠の生物と西部劇のキャラがぴったりマッチしています。ただ意外とランゴ自体の表情が乏しく(カメレオンで表情を出すのはちょっと難しかったか?)その分ジョニー・デップの演技力(声であったり動きであったり)で補われているのではないかと思います。


そのジョニー・デップの声ですが、オリジナルもいいのですが吹き替えも悪くないです。(私は吹替えで見た方がすんなりと物語に入れました)
もちろんランゴの吹き替えは平田広明さん。鉄板ですね。
そのほかの吹替えも全てぴったりで安心して見る事ができます。
なぜかアルマジロが関西弁なのですがこれもぴったり(吹替は山路和弘さん)。物語にマッチしていました。


アカデミー賞もダテじゃない。2011年公開のアニメ作品としては間違いなく上位に作品だと思います。