アジョシ(2010)/★★★★★

これは傑作。アイデアとキャラクタに脱帽。
アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]
評判の高い本作ですが期待に違わぬ傑作でした。
ウォンビンのすごさやキム・セロン良さは多くの人の指摘通りだと思いますが、それよりも私が感心したのはアイデアの良さです。
最初は麻薬組織同士の抗争に警察を交えた展開と思わせ、ショッキングな死体を見せて第2幕に突入。最初はその傷の意味が分りませんでしたが、臓器売買組織とわかると今度は子供の臓器を売る話に展開。さらにウォンビンの素性や組織に少しづつ近づく様子を見せていきます。うまい、巧すぎる。
小道具の使い方もうまくて、ネイルアートや携帯の使われ方もナイス。良く考えられているなぁと感心しました。


2つ目に強調しておきたいのが、とにかく悪役のキャラクタ造形がいい!。
敵対するちょっと間抜けな親分と子分たちを配しながら、真の敵であるマンソク兄弟の非道ぶりが際立つように構成されている。
特にマンソク弟の登場シーンでドライヤ片手に拷問しながらウインクするあたり「こいつゼッテー許さねぇ」と思わせる事必至。さらにもう一人のアジョシとなる殺し屋ラムが子供の目に手を当てる仕草が終盤へのさりげない伏線になっているのも素晴らしい。
闇の子供たち」ばりの2階の子供監禁部屋と元締め"500ババア"の怖い事、憎たらしい事。サイコーでした。
刑事達も皆キャラが立っていて大爆笑だし、駄菓子屋のオヤジもいい。空港(?)で捕まるチンピラさえもいい感じになっていました。
逆にソミの母親とウォンビンの妻は、きれいな女優さんだけに印象が薄くなりました。


アクションシーンも素晴らしい。トイレの場面も良かったのですが、クライマックスは観たことないようなアクションの連続でこれだけでも見る価値はあると思います。


正直ラストはあまり感動しませんでしたが、前評判に偽りなしの傑作だと思います。
さて、次はずっと宿題となっている「冬の小鳥」でも観ますかぁ。