先生を流産させる会/★★★☆

事件とは別物。見所はたくさんあるが観たかったものとは違う。

なんとBSスカパーで無料放送した後に劇場公開が決定!。
ばっちり録画していたので、一足お先に鑑賞。


「先生を流産させる会」というタイトルを聞いて「午後の曳航」のような話を連想していたのですが、ちょっと違っていました。
ショッキングなタイトルだし、実際の事件を元にしているということで話題性は十分ですが、元となった事件からいたずらの内容自体は引用しているけど、お話自体は別物と思ったほうがよさそうです。
(事件は男子生徒ですが、映画では女子生徒に変更)


普段から厳しい態度で生徒に接している中学校の女教師が妊娠したことを知った女子5人組が、生理的嫌悪感?から流産させようと色々な悪戯を仕組むが、それがエスカレートしてやがては・・・というお話。
私が知りたかった"生理的嫌悪感"の部分はあまり描かれず「気持ち悪いから」と理由だけで主犯格の女の子が行動に走る部分がついていけない。
この女の子の背景(家族や過去など)も描かれないし、オープニングでいきなり"どん引き"するような行為の理由も分からない。


ただし、終盤にこの子が暴走してあっと驚く展開になるのですが、このあたりから急にホラーテイストになるんですな。
そこで始めて、ああっこれってドラマというより1種のジャンル映画なのかと。そう考えると割とよく出来ている気もします。
見た目が普通なのに実は悪意の塊の子供だと「ダミアン(オーメン)」とか最近では「エスター」とか、そっち系の気もしますが、そこまで割り切ってるわけではない。
この微妙な感じがこの映画の持ち味かもしれません。


ただ、見所はたくさんあって、まず女教師役がとてもよいです。
いかにも居そうな、やたら厳しいけどきちんと生徒のことも考えていて、いざとなったら生徒のために○○○も厭わない感じがよく出ています。
次に主犯格となる女生徒。その行動原理はよく分からないけど、思春期のいつも何かに怒っている感じがよく伝わります。
さらに幾つかの決め画と流れる音楽が格好良くて、カナザワ映画祭で"爆音"プレミア上映されたのもうなずけます。


ただ、せっかく男子から女子に変えたのだからもっと「思春期に抱く性への嫌悪感」と「自分自身が大人になっていく焦燥感」のようなものを伝えて欲しかったと思います。


■公式サイト
http://sensei-rsk.com/


本当はこんなのが観たかった?

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