仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ(2010) 2D版/★★★★

平成ライダー映画の最高傑作!
撮影報告書 メイキング・オブ・仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ [DVD]

ネタバレ&リスペクト全開。
まず、冬ライダーとスタッフを比較してみます。

■AtoZ 運命のガイアメモリ(夏ライダー)
脚本:三条陸
監督:坂本浩一
アクション監督:宮崎剛
特撮監督:佛田洋

■W(ダブル)&ディケイド MOVIE大戦2010(冬ライダー)
脚本:三条陸(W)/ 米村正二(ディケイド)
監督:田崎竜太
アクション監督:宮崎剛
特撮監督: 佛田洋

アクション・特技監督は一緒で、脚本家はそれぞれのTVシリーズの脚本家をそのまま起用しています。一番の違いは監督で、冬ライダーの田崎監督は長くライダーシリーズを手がけてきた人。一方、今回の夏ライダーの坂本監督はライダー映画はこれが初めてです。前作は「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」
東映としても世代交代の大きな大きな賭けに出ていたことが分かります。
(あるいは直前に電王3部作も公開していたので、純粋に監督が不足していたとも考えられますが)


結果どうだったか?大成功じゃないですか!
平成ライダー映画の最高傑作!と言ってもいい出来。ライダー映画でこれほど「上がる」映画は無かったと思います。

成功の鍵としては

  • TVシリーズを踏まえた世界観
  • 魅力的な悪役たち
  • とにかく息継ぐ暇もないぐらいのアクションの連続
  • 適度なお笑い

これを見て我々は「ライダー映画に何を求められていたのか」が分かりました。
要はこれまでのW(またはライダー)の世界観(TVシリーズ)に対してきちんとリスペクトしつつ、映画らしい(お金と手間ヒマをかけた)ライダーが見たかったということなんですよね。
そのための様々な工夫がこの映画には凝らされています。

■世界観の踏襲

今回の敵はNEVERという新たな戦闘集団なのですが、新顔を出しつつ仇敵のミュージアムも登場します。さらにNEVERとミュージアムは悪の開発競争で争っていたという憎い設定。
また、これでのWでは2人で変身しましたが、この映画ではとうとう1人変身も見られます。この1人変身が出来るようになったのは、冬ライダーで登場したおやっさんからベルトを与えられたから。きちんと冬ライダーとも繋がっています。
さらに、ここ一番というところで、新ライダー(オーズ)も登場。ライダーだけでなく主人公もきちんと出ています。
ある意味このオーズ対ルナ・ドーパント戦が一番笑ったし、子供たちも大うけでした。

タイトルのAtoZはメモリの種類の事。実はガイアメモリはAからZの26本あり、それをNEVERが奪うところからこの物語は始まります。また本作はTVシリーズの第44話と第45話の間の出来事とされていて、第45話で風都タワーの修復作業が出ているそうです。
(ネット動画ではAからZの26話が公開されているようです)

ここ一番の必殺技は「ライダーパンチ」と「ライダーキック」。一部ではパンチの直前に旧ライダーの音が使われているとの評がありました。

最後の戦い「マキシマム・ドライブ」ではなんと全メモリの「マキシマム・ドライブ」が聴けます。こりゃ「上がる」わ。

■魅力的な敵役たち

NEVERは奪った”ガイアメモリー”で変身するのですが、これはWのもっているメモリと同一のもの。さらにT2ガイアメモリとしてパワーアップしています。
過去、ニセウルトラマンやイーヴィルティガの例を出すまでもなく、本物対ニセモノほど燃える戦いはありません。
つまりジョーカー対T2ヒート、ジョーカー対T2トリガーなど同一ライダーの別フォーム同士が戦うのです。

このニセとなるNEVERのキャラも魅力的で、メモリーの性質とも合っています。

  • 「冷たい女」と言われると”カチン”とくるヒート・ドーパント(八代 みなせ:グラドル)お色気担当。
  • 常にクールなトリガー・ドーパント出合正幸:ボウケンシルバー)「ゲームスタート」が合言葉。
  • ムキムキマッチョなメタル・ドーパント(中村浩二:俳優)キャラと合ってます。
  • 初のオカマライダー(笑)のルナ・ドーパント須藤元気:K1・作家・タレント)見た目とのギャップが楽しく、子供たちに大人気!
  • 風と共に現れ、なぜかライダーに味方するサイクロン・ドーパント杉本彩:女優)特撮モノではなぜか知的な博士役が多い。本作でも女捜査官で登場し、実はNEVERを作った悪の女プロフェッサー・マリア。(大人目線ではエロフェッサー)
  • リーダはなせかドーパントではない仮面ライダーエターナル(松岡充SOPHIAのボーカリスト)今回もロッカーを起用し大正解。むちゃくちゃカッコイイ!

■目まぐるしいアクション

Wの全フォームが見られます。それもアクションしている最中に次々と入替る。これはアガります(撮る側はムチャクチャ大変だったでしょうけど)。
バイクスタントも素晴らしい出来栄え。
映画としてストーリーを語る場面はあるのですが、圧倒的にアクションの比率が高い印象があり、見るものを退屈させません。
坂本監督の前作「大怪獣バトル」も(未見ですが)アクションが多く評判が良かったと記憶しています。次回作が非常に楽しみな監督の一人になりました。
(ちなみに、同時上映の「天装戦隊ゴセイジャー エピックON THE ムービー」にもバイクアクションとカースタントが出てくるのですが、逆に全然ダメダメの出来。同時上映だけにダメぶりが目に付きました)

■その他(3D演出とか)

今回は2Dで見ましたが、3D版も評判がいいようです。確かにメモリが手前に飛んでくるなど前後の演出が多い印象はあります。
1つ要望を言わせてもらなら、杉本 彩をもっと綺麗に撮って欲しかったし、もっと使いこなして欲しかった。
今回フィリップとの絡みでほぼ主役級の扱いにも関わらず、生かしきれていないのが残念です。


細かい注文はありますが、ごちゃごちゃ言わずにまずは見ろ!そんな1本でした。
(できれは3Dでもう1回観たいです)

映画終了後に冬ライダーの予告あり

仮面ライダー×仮面ライダー OOO&W MOVIE大戦2011』

監督が不明ですが、ぜひ坂本監督にお願いしたい。