ディア・ドクター(2009)/★★★★☆

フツーに面白い
ディア・ドクター [DVD]
西川作品は「ゆれる」で重苦しく難解なイメージを持っていたのですが、本作は随分と分かり易くなった分評価が高いのかもしれません。
観ていてフツーに面白かったので、却って拍子抜けしました。


七人の侍」で志村喬の名ゼリフに「いや、勝ったのはあの百姓たちだ・・・儂たちではない・・・・」というのがあります。
観ていて思い出したのはこのセリフでした。
結局、村人からも看護婦からも製薬会社の業者ですら祀り上げられ踊らされた男は、3年半の地獄のような生活からやっと解放されたのでした。

鶴瓶の”人がよさそうに見えて、どこか底知れぬ意地悪さ”を見せる部分(その瞬間だけスローになったかのように止まるカットが何回かある)が、映画のキャラクタとぴたりと一致して、この作品の毒になっています。
製薬会社の香川照之も怖いですが、一番怖かったのが看護婦の余貴美子。「私がやるわけにいかないでしょ」と言って針を差し出すあたりはゾクゾクしました。


この映画のラストも好きですが、出来ればひょんな事からまたニセ医者になりそうになりそうな話も見てみたかったと思います。