レスラー(2009)／★★★★★

これが男の生き様

ほとんどドキュメンタリーですな。
あまり演出的な技巧（テクニック）を感じさせない作りで、多くの人がミッキー・ロークの実人生と重ね合わせて見てしまう。
この話をミッキー・ローク、マリサ・トメイのキャストで撮ることを考えたダーレン・アロノフスキーの感性が素晴らしいと思います。

その中でも、２か所ほど映画的な場面があります。
１つは壮絶な流血試合で先に試合後を見せてから、時間を巻き戻すことをしています。これがうまい。
もう１つは肉売り場に初めて入る時、長い廊下を渡る後ろ姿とともに、観客の歓声をかぶせているところ。ここもうまいです。
それ以外は本当にその場にいるかのようなリアルさで描いています。

最後の試合。死を覚悟して出ようとするミッキー・ロークにマリサ・トメイが言った一言にジーンときて、そのままマイクをもったミッキー・ロークが
「この観衆がおれの家族だ。だれもおれに辞めろとは言えない。このおれに辞めろと言えるのはファンだけだ」
と言う姿に泣きました。

もうこれは映画と言うより「男の生き様」をフィルムに焼きつけたドキュメンタリと言うべきものだと思います。

■ミッキー・ローク　インタビュー
http://e-days.cc/cinema/feature/200906/27452.php