旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ(2009)/★★★

群像劇として優れている
旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ スペシャル・エディション [DVD]
地上波放送をしていたので鑑賞。


まず、これだけのキャリアのある役者陣(癖のある役者ともいう)を揃え、しかもこれだけの長期に渡って撮影を続けた製作者達に敬意を表したい。
数年間に渡る物語だけに、四季通じてなんども撮影が行われたであろう事は、想像に難くない。
また、役者陣を揃えたことにより、飼育係の群像劇としても十分楽しめた。
(私は商工部長の笹野高史がお気に入り)


ただし、物語の大半が生まれ変わる前の動物園で次々と起きる逆境の時代を描いており、新しく再生していく部分はモンタージュによって描かれるため、実際にどう工夫したのか、世界でも類がない行動展示をどうやって完成させたのかがわからないのが残念だ。
この製作者(監督も含めて)が描きたかったのは、逆境にも負けない飼育係達であり、それを支え続けた園長・滝沢寛治の姿であったと思うが、私が見たかったのは、再生していく姿(プロジェクトX的な部分)だったので、見たかったものとはちょっと違うかなという感じではありました。


ただ、市長選もからめた動物園を取りまく政治的な部分にまでメスを入れていたこと、群像劇として纏め上げたマキノ雅彦監督の手腕は素晴らしいと思いいます。


余談ですが、本作の西田敏行を見ると「陽はまた昇る」を連想してしまいます。最後は絶対に職員達が「VHS」と人文字を書くとばかり思っていたら、動物達の大お見送り大会でした。
劇場で泣いた人も多かったと思います、