闇の子供たち/★★★★★

よく撮った!真摯な態度と勇気を称えたい。
闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]
ネタバレ全開。ご注意を。
まずは、この映画を作った関係者の勇気を称えたい。
監督もそうだが、製作者の苦労は並大抵ではなかったと思う。


映画的には極めて真摯な態度で作られていると思う。題材が題材だけに相当気を使ったと思うが、決して逃げずさりとて露悪にならずバランスがとれている。
たとえば、移植手術や行為の最中に死んでしまった幼児に対する代償の金額は具体的に出てくるが、子供を受け出した金額や行為(プレイとは言いたくない!)の金額は出てこない。つまり”命の値段”をはっきりとこの映画では語っている。
また醜悪な客の姿(もちろん日本人もいる)は描くが”その行為”自体は写さない。ただしそれによって子供が流した血は1カットだけ写される。
それらの取捨選択がこの問題に正面から向き合っていると感じられた。


文句があるとすれば、宮崎あおいのキャラクタがステレオタイプ的過ぎる点とあの銃撃戦だ。
ただし、あのキャラクタがなければ話が前に進んで行かないし、銃撃戦がなければ摘発という展開にならなかったと思う。
その意味では”映画”として成立するためには仕方がなかったのかなとも思う。


この映画に出ているのが、江口洋介宮崎あおい妻夫木聡と言うのが驚きだ。(キャストで客を呼ぶような作品ではないのに)
特に江口、宮崎は存在感を感じさせた。
ただ、江口の最後の場面(地面に伏す姿)はいらないと思う。
逆に佐藤浩一は逆に上手すぎて浮いた感があった。

===
以下、個人的な感想。
1つ思ったのは臓器移植を受けた家族はこれからどうなるんだろうと言うこと。
手術が上手くいっても、長生きする保証はない。しかも大金をかけた決断。
あるいは、他人の子供をみて犠牲になった子供の事を本当に思い出さないのか?。
この夫婦はこれから罪の意識を背負って生きていくことになるだろうか?。
人の命を奪ってでも得た自分の子供の命。これが自分だったら、そこまでするのだろうか?
わからない。
ただ、1つ言えるのは、こういった事は(たぶん)本当に行われていて、それは自分とは無関係ではないと言うこと。
よく考えたいと思います。